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2023年5月16日(火)

道路整備特別措置法改定案

田村議員の代表質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の田村智子議員が15日の参院本会議で行った道路整備特別措置法改定案に対する代表質問の要旨は次の通りです。


 法案は、高速道路の更新・進化事業を進めるためとして、料金徴収期間を最長2115年まで延長するものです。約100年先、日本の交通機関がどうなっているか、現在の高速道路が存在しているのか、大臣はどう検討したのですか。

 高速道路会社が公表したのは、更新が必要となる事業規模が1・5兆円ということだけです。衆院の審議では、これに加えて、更新が必要となる蓋然(がいぜん)性が高い箇所の事業費が約6・8兆円と示されましたが、対象の道路、更新計画の概要などは何も示されていません。総額8・3兆円規模の更新事業について、政府としての中長期計画を示すべきです。

 国土交通省は、100年先を見越した長期的な更新計画の作成は困難だと答弁しています。ならば、100年先まで見越した法改定がなぜできるのか、また100年間に新設される道路も更新事業が必要で、2115年までに料金徴収終了という根拠はどこにあるのですか。

 国の道路行政そのものも厳しい検証が必要です。高度成長期に建設されたトンネル・橋梁(きょうりょう)などの更新の必要性は、2000年代はじめから指摘されていましたが、同時期、小泉構造改革により、コスト削減を前提として05年、道路公団の民営化が行われました。

 笹子トンネル事故の背景には、民営化政策に貫かれたコスト削減方針があったのではありませんか。また、老朽化対策の必要性が指摘されながら、事故が起きるまで、具体の調査も行わず、方針も示さず、道路会社任せにしていた政府の責任も問われます。

 改定案は道路の「進化」を掲げており、道路料金が新規建設の財源とされることで、更新事業が先延ばしとならない担保が法案のどこにあるのですか。

 政府も高速道路会社も、自動車道の新規建設をひたすら続けています。地域高規格道路の建設は各地で進み、下関北九州道のように一度凍結された計画が復活した事業もあります。これら個々の道路計画の必要性の精査こそ求められています。

 新設道路には、巨大な橋梁や大深度トンネルなど、建設にも更新にも巨額の費用を要するものが多数あります。今後の道路事業の全体像をどう検証しているのですか。

 さらに検討すべきは、貨物などの鉄道輸送へのモーダルシフトです。大型トラック等の重量輸送は道路の劣化を早め、環境負荷も大きく、運転手不足も深刻です。ローカル鉄道も活用した新たな貨物ネットワーク構築こそ求められます。

 改めて笹子トンネル事故を痛切な教訓とし、老朽化道路の更新事業を最優先とした政策を具体化し、5年ごとの法改定を義務づけて国会で検証すべきです。また新規建設の抑制など道路事業の総量規制、本格的なモーダルシフトへと鉄道政策と連関した道路政策への構造的かつ抜本的な政策転換を求めます。


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