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2023年5月16日(火)

主張

日中関係打開提言

平和の準備のため行動する党

 日本と中国の両国間に現在、さまざまな紛争・緊張・対立があることに多くの国民は懸念を抱いています。関係悪化がエスカレートして「軍事対軍事」の悪循環に陥り、万が一戦争になるような事態は絶対に避けなければなりません。この現状を打開する道は、道理に立った外交以外にありません。その立場から日本共産党の志位和夫委員長は「日中両国関係の前向きの打開のために」と題する提言を発表(3月30日)し、日中両政府に手渡して会談しました。両政府双方から提言内容に肯定的な受け止めが示されるなど、党の行動に注目と期待が寄せられています。

三つの共通の土台生かす

 提言は、日中両政府の間に、「平和と友好に向けた共通の土台」が三つあることに着目し、それを生かす外交努力を行うことを呼びかけました。

 第1の土台は、2008年の日中首脳会談で交わされた日中共同声明です。同声明は「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」と合意しました。「互いに脅威とならない」は、その後の日中首脳会談でも繰り返し確認されています。

 第2の土台は、尖閣諸島を巡る14年の合意です。「尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていること」について、日中が「異なる見解」があると認識し、「対話と協議」を通じて問題を解決していくと確認しています。

 第3の土台は、多国間の平和の枠組みに関する共通点です。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、日本、中国、米国、インドも加わる「東アジアサミット(EAS)」を発展させ、東アジア規模の友好協力条約を展望した「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)を提唱しています。この構想に日中両政府とも賛意を示しています。

 現にある「共通の土台」を踏まえた提言だからこそ力を持ちます。志位氏との会談で岸田文雄首相が「(提言は)日本にとって責任ある課題」(3月30日)と述べ、中国の呉江浩駐日大使は、提言を今後の対日関係の参考にすると賛意を示しました(今月4日)。

 「互いに脅威とならない」との合意について、日中双方が順守すると表明したことは重要です。日本側も中国側も「脅威」となる行動をとるべきではありません。合意の誠実な履行と具体化は双方に課せられた重い責任です。

 日本共産党は岸田政権の進める敵基地攻撃能力保有と大軍拡を絶対に許さない立場です。中国の覇権主義的ふるまいや人権侵害も強く批判しています。しかし、日中関係が極めて憂慮すべき状況にある中で、党の独自の主張や立場を横に置いてでも事態を前に動かすことに貢献する―提言にはその思いが込められています。

実現へ外交的努力続ける

 日中関係の前向きの打開へ、いま政治の姿勢が問われています。「対中外交 永田町は総がかりで」「策はあるのだ。共産党のみならず、各党総出で知恵を競い合うべきだ」(ジャーナリストの倉重篤郎氏『月刊日本』5月号)などの声が上がります。

 戦争の準備でなく平和の準備を―日本共産党は提言の方向が国民多数の声となるよう力を尽くします。中国との対話も続け、提言の方向が実るように可能な外交的努力を続けます。


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