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2023年5月14日(日)

入管法改悪案

仁比議員の質問 要旨

参院本会議

 日本共産党の仁比聡平議員が12日の参院本会議で行った入管法改悪案に関する質問の要旨は次の通りです。


 2年前、名古屋入管で起きたウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件は、わが国の入管収容、難民認定行政の底深い人権侵害構造をあらわにしています。ウィシュマさんは、亡くなる2日前からバイタルも取れないまま放置されました。被収容者を対等な人間として向き合っているなら、こうした処遇はあり得ません。

 重大なのは、同様の事件が繰り返されながら、政府が実態解明と徹底検証に背を向け続けてきたことです。死亡事件全てについて、第三者機関による検証を行い、国会に報告すべきです。ウィシュマさんの監視ビデオ全ての国会提出を求めます。

 法案は、2年前廃案となった法案と骨格を同じくしています。わが党を含む4会派・5党は、全件収容主義をやめ、収容期間に上限を定め、収容の判断は司法審査にすると同時に、独立した難民保護委員会を創設することを柱とした対案を提出し、実現を求めます。

 入管の裁量で無期限の収容が行われ、帰国意思を示すまで自由を奪われ続けるのは構造的な人権侵害に他なりません。政府案は、3カ月ごとに収容の必要性を見直す、仮放免の在り方の見直しで対応するとしていますが、入国審査官の裁量に委ねられています。

 難民条約33条は、「生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放しまたは送還してはならない」とするノン・ルフールマン原則を定め、それが難民申請者に当てはまることは国際法の鉄則です。

 入管は、帰国意思を示した者以外全てを「送還忌避者」呼ばわりしています。そこには多くの難民申請者が含まれています。「(難民申請中は送還が停止される)送還停止効を乱用・悪用しているケースがある」とも言いますが、基準は何ですか。3回目以降の難民申請に送還停止効を認めず、強制送還に応じるか送還忌避罪で訴追されるかを迫る政府案に、立法事実は認められません。

 複数回の難民申請で認められた方は数多くいます。難民不認定処分を裁判で争い覆った事件も、2003年以降32件35人に上っています。一方、不認定通知の翌日に強制送還され出身国で転々と避難生活を送る人、強制送還され出身国の刑事裁判にかけられ、そのさなかに殺害された人がいます。難民条約と国際人権法に照らして許されないのではありませんか。

 差別と排斥ではなく、保護と共生こそ。国民の声を聞き、徹底審議することを求めます。


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