2023年5月13日(土)
能登地震1週間 事業早く再開したい
売り上げなし 修理代もかかる 貸付より補助金を
石川県能登地方で群発地震が続き、珠洲市で最大震度6強を観測してから12日で1週間がたちました。被災地では、製造業やサービス業など幅広い産業で影響が生じています。住民の生活や地域経済を支えている企業が打撃を受けており、支援制度を求める声が上がっています。(新井水和)
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「昨日も注文があった。だけど『しばらくできないわ』と断った。来週あたりから再開したい」。そう語るのは40年続く仕出し屋を切り盛りする女性です。
地震で積み上げていたざるやボウルなどの調理器具が落ち、調味料は倒れました。割れた茶わんや皿は、かごに10杯ほど。子どもや孫が手伝い、やっと片付けることができました。
店ではフキやウドなど季節の食材を取り入れた料理を提供してきました。コロナで売り上げが減ったものの、お膳を頼む客も少しずつ増え「ぼちぼち仕事が入るかな」と思っていた矢先でした。
「一言じゃ語れないね。でも命があるだけいいか」と、きびきびと手を動かしながら言います。
地震で外れた戸はガムテープで補強しています。業務用の大きな冷蔵庫の脚が壊れ、レジは落下し使えなくなりました。
珠洲市では、地震のため家庭から出た大きなゴミの仮置き場が設置されました。ただ産業廃棄物は持ち込むことができません。廃棄は業者に頼むため費用の負担がのしかかります。
女性は「業務用の冷蔵庫を捨てるのには10万円くらいかかると聞いている。そんなに払えないから、まだ捨てられない。無料で引き取ってもらえたら」と訴えます。
チラシや本などの印刷、製作を手掛ける印刷会社では、地震で機械が故障しました。精密機械のため修理に数週間かかる見込みです。納期が迫っているものは他社に頼みました。会社の建物には亀裂も入っています。
社長の男性は「修理代もかかるし、売り上げもない。ダブルパンチだ」と語り、公的な貸し付けよりも、返済が不要な補助金を要望しています。