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2023年5月11日(木)

自殺は労災 判決確定

中部電社員 国が上告断念

 2010年に中部電力に入社した鈴木陽介さん=当時(26)=が入社して半年で自殺したのは過大な業務や上司のパワハラが原因だとして、遺族が労災の不認定処分取り消しを求めた訴訟で、国が上告を断念したことが10日、分かりました。上告期限は9日でした。不認定処分を取り消した名古屋高裁の原告勝訴判決が確定しました。

 名古屋高裁は4月25日、遺族の請求を棄却した一審の名古屋地裁判決を取り消し、鈴木さんの自殺を労災と認定。「お前は要らない」「こんなんで大卒か」などの発言が「人格や人間性を否定すると評価できる」と指摘した上で、業務内容についても「新入社員にとって難易度が高く、十分な説明や指導がされていなかった」として自殺との因果関係を認めました。

 鈴木さんの母親の吉田典子さん(61)は、国が上告を断念したことについて「やっとここまで来ることができたという感じだ」と喜びをあらわにしました。その上で「陽介が戻ってこないのは悔しい。陽介と同じように苦しい思いをする人がいなくなる社会にしていかなければいけない」と語りました。

 吉田さんが上告断念を求めて厚生労働省に要請した際に同行した日本共産党の本村伸子衆院議員は「鈴木さんの無念の思いを受けて、吉田さんが奮闘されたことで今回の結果につながった」とコメントしました。

 鈴木さんは10年4月に同社に入社。三重支店に配属されましたが、精神障害を発症し、同年10月に自殺しました。吉田さんが13年に労災申請しましたが、津労働基準監督署は認定しませんでした。


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