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2023年5月10日(水)

主張

コロナ「5類」移行

課題直視し命守る責任果たせ

 新型コロナウイルス感染症の法律上の分類が8日、季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行されました。5日には世界保健機関(WHO)が緊急事態の終了を宣言しました。3年以上にわたったパンデミック(世界的大流行)は大きな節目を迎えています。流行が終わったわけではありません。WHOも警戒を怠らないよう呼びかけました。

 5類移行は医療支援の大幅削減、患者の負担増といった大きな問題を抱えたスタートとなりました。岸田文雄政権は浮き彫りになった課題を直視し、命を守る責任を果たさなければなりません。

医療崩壊起こさぬ体制を

 WHOによると、世界の感染者は累計で7億6522万人、死者は692万人を超えました。報告されていない死者を含めれば2000万人以上と推定されます。

 感染しても医療を受けられない「医療崩壊」が各国で起きました。新自由主義の下で社会保障や医療が削減されてきたことが取り返しのつかない事態を招きました。

 日本では人口あたりの医師数が世界でも低水準で、もともと医療提供体制が不足しています。その上、自民党・公明党政権が「地域医療構想」を進め、自治体に病床削減を迫った結果、コロナ危機で病床が逼迫(ひっぱく)しました。保健所も足りませんでした。

 専門家は感染「第9波」が来る可能性を指摘しています。医療費に自己負担が生じることで受診抑制が懸念されます。国が医療機関への支援を縮小することで、また医療提供体制が逼迫する恐れもあります。今こそ医療の強化に本腰を入れるべきです。

 コロナによる経済的な打撃は、非正規労働者や小規模事業者、所得の低い人の間で特に深刻でした。その一方、巨大IT企業の経営者ら世界の超富裕層は、コロナ禍のさなかに株価の上昇などで資産を大幅に増やしました。不公正な社会を変えなければなりません。

 医療支援や貧困対策の財源を確保するために公正な税制の実現が欠かせません。多国籍企業の税逃れを防ぐため、2021年に約140カ国・地域が合意した国際課税ルールの導入も急がれます。

 減少傾向だった世界の極貧人口はコロナ危機で大幅増加に転じました。グテレス国連事務総長はコロナ危機からの「よりよい再建」を呼びかけましたが、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価高、食料難で経済的に貧しい国の暮らしはますます悪化しています。4月の主要7カ国(G7)外相会合は極貧対策の強化を確認しました。日本にも実行が求められます。

国際的協力が欠かせない

 コロナではワクチンの公正な配分が問題になりました。製薬企業の利益や大国の思惑が中心になり、途上国が置き去りにされてはなりません。WHOが求める「ワクチンの平等」が重要です。

 コロナ以外にも三大感染症(マラリア、エイズ、結核)が世界で多くの命を奪っています。熱帯地方ではWHOが20の感染症を指定して制圧に取り組んでいるものの、各国の支援は弱く「顧みられない熱帯病」と呼ばれます。

 いつ、どこから国境を越えて流行するかわからない感染症に対処するには国際協力が欠かせません。そのためにも平和な世界の実現が急務です。


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