しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年5月10日(水)

きょうの潮流

 夏も冬も2日に1度のシャワー。食事は1日2食だけ。上着は10年以上買っていない。香典と旅費が捻出できず、近親者の葬儀に参列できない…。これが、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の」暮らしの実態です▼厚生労働相が生活保護費を2013年から段階的に平均6・5%、最大で10%も引き下げることを決めました。生活保護を利用しない低所得世帯との比較で保護利用世帯の方が、消費が上回っていたとして。加えて、厚労省独自の指数を使い「デフレ調整」の名目で▼黙っていられないと全国で1万人余りが審査請求し、29都道府県の千人近くが訴訟に立ち上がりました。これまで19地裁、1高裁で判決が出ています。うち9地裁で原告が勝訴▼4月の大阪高裁判決は、この原告勝訴の地裁判決を覆しました。保護費減額による生活環境の苦痛は、経済状況悪化の中で「国民の多くが感じた苦痛と同質のもの」と切り捨てました。原告34人は泣き寝入りせず、上告しました▼生活保護制度は、ナショナルミニマム(最低生活水準)として、わたしたち市民の暮らしの土台になるもの。保護費の減額は、最低賃金や就学援助、住民税非課税限度額などに大きな影響を与えます▼「食べて寝るだけ。生存しているだけで、人間らしい営みができない」。保護利用者からは、悲鳴ももれてきます。非人間的な土台のうえで暮らすのか。生活保護費の削減は、利用者だけの問題ではありません。多くの市民にも突き付けられています。


pageup