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2023年5月8日(月)

英国 70年ぶり戴冠式

反王制デモで逮捕者

 チャールズ英国王の戴冠式が6日、ロンドンの中心部で行われました。1953年に故エリザベス女王が行って以来70年ぶりで、英国国教会のトップによる宗教行事や数千人規模の兵士が参加するパレードが実施されました。物価高に苦しむ庶民をよそに執り行われた豪華な式典には国民の間に反発も出ました。

 英国国教会の最高位聖職者カンタベリー大主教は、今回一般国民が国王に忠誠を誓う機会を新設。世襲貴族が新君主に忠誠を誓う伝統に代わるもので、宣誓文は「私は、国王陛下とその世継ぎや後継者に、法に基づき心からの忠誠を誓う。神のご加護を」というもの。義務ではないとされたものの、チャールズ国王を国家元首とする英国以外の14カ国では、奴隷貿易や植民地支配の被害への謝罪・賠償を求める人々から批判が出ました。

 ロンドンでは、数百人の反王制グループがパレードのルート沿いで「私の国王ではない」と書いたプラカードを掲げました。

 警察は、反王制団体「リパブリック(共和国)」の指導者グレアム・スミス氏をパレード出発前に拘束。そのほか51人を逮捕し、プラカードやハンドマイクも押収。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ英国のヤスミン・アーメド代表は「戴冠式に対する平和的デモで逮捕者が出ていることはきわめて憂慮すべき事態だ」と批判しました。

 独立運動の強いスコットランドのグラスゴーやエディンバラ、ウェールズのカーディフでも王制廃止を求めるデモが行われました。

 この間、歴代の国王が奴隷貿易によって利益を得ていた歴史を掘り起こす報道に取り組んできた英紙ガーディアンは、王室が多額の財産を無税で相続し、王室財産からの収益を手にしながら、年間8600万ポンド(146億円)を国庫から受け取っていると指摘。

 「華やかな儀式と富、ぜいたくの陰で、王制が国を統一し代表していた19世紀向けに設計された王制だとの思いはぬぐえない」とし、英王室が「現代の民主国家を団結させ、その価値を代表できるのかどうかは、今はまだわからない」と論評しました。(伊藤寿庸)


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