2023年5月7日(日)
黒人ホームレス 白人が殺害
米NY 加害者訴追なしに市民抗議
【ワシントン=石黒みずほ】米東部ニューヨーク市の地下鉄でホームレス男性が首を絞められ死亡した事件をめぐり、加害者の責任が問われていないことに怒りが広がっています。同市で5日、加害者を刑事訴追するよう求める抗議行動が行われました。
事件が起きたのは1日午後2時半ごろ。目撃者によると、地下鉄に乗り込んだ黒人男性ジョーダン・ニーリーさん(30)は「おなかがすいた。のどが渇いた。もう疲れた」と周りの乗客に向かって叫んでいたといいます。公開されたビデオには、その後ニーリーさんが同じ電車に乗り合わせた3人に取り押さえられ、その1人に首を絞められる様子が映っています。ニーリーさんは警察が駆け付けた時にはすでに意識はなく、搬送された病院で死亡が確認されました。
首を絞めたのは元海兵隊員の白人男性(24)とされており、事件当日に警察から事情聴取を受けたものの、その日のうちに釈放されました。事実関係について現在も捜査が続いていますが、監察医は、死因は首の圧迫で、殺人と結論付けています。
抗議行動は連日取り組まれており、5日には「ジョーダン・ニーリーに正義を」「貧しいことは罪ではない」と書かれたプラカードを掲げた参加者が集結。加害者の行為は「リンチ」であり、黒人に対する白人の「自警主義」が引き起こしたものだと怒りの声をあげました。
ホームレスは同市の課題となっており、支援団体「ホームレス連合」によると、2022年に市が運営する収容施設に入った人は10万2千人以上に上り、その大多数が黒人や中南米系でした。ニーリーさんは、精神を病んでいたとされ同団体は「多くの人々が強く必要としているメンタルヘルス治療を全く提供できていなかった」として、市当局の不十分な保護策を批判しました。








