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2023年4月30日(日)

主張

兵器の“爆買い”

米政府・軍需産業への異常奉仕

 政府の2023年度予算の軍事費で、米国の武器輸出制度である対外有償軍事援助(FMS)による武器などの調達が契約額で過去最大の1兆4768億円に上っています。防衛省が示している契約額の内訳をみると、岸田文雄政権が進める敵基地攻撃能力保有など軍事力の大増強が、米軍需産業に巨額の利益をもたらすものであることが分かります。

さらなる膨張は不可避

 23年度のFMS契約額は、前年度予算の3797億円から約4倍に膨れ上がりました。それまで過去最大だった19年度予算の7013億円と比べても2倍超と異常突出しています。

 23年度の内訳を、金額の大きな順に並べると、以下の通りです。

 ▽長距離巡航ミサイル・トマホークの取得2113億円▽E2D早期警戒機(5機)の取得1941億円▽F35B戦闘機(8機)の取得1435億円▽イージス・システム構成品などの取得1252億円▽F15戦闘機(20機)能力向上1135億円▽トマホーク発射機能の付加の改修用器材の取得など1104億円▽F35A戦闘機の取得(8機)1069億円。

 取得するトマホークは400発で、イージス艦から発射します。F15能力向上機やF35Aにも別の長距離巡航ミサイルを搭載する計画です。F35Bは空母化される「いずも」型護衛艦での運用を想定しています。インド太平洋地域での米軍事戦略に追従し、岸田政権が昨年末に安保3文書で決めた敵基地攻撃能力保有にかかわるものが目立ちます。

 FMSの契約額は、12年末に発足した安倍晋三政権下で急増しました。トランプ前米政権からの「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買え)」という圧力のためです。その結果、防衛省の中央調達(武器や燃料などの購入)の契約額はFMSによるものが15~20年度まで国内の軍事企業を抑えてトップでした。21年度も最大手の三菱重工に次いで2位となっています。

 バイデン現米政権も、米国製武器の購入を強く求めています。岸田政権は安保3文書で今後5年間に43兆円もの軍事費をつぎ込む大軍拡計画を打ち出しています。FMSの契約額が今後さらに膨張していくのは必至です。

 FMSは、(1)価格は米政府の見積もり(2)納期は出荷予定時期であって目標(3)支払いは前払いが原則―とされ、未納入や未精算、高価格などが問題になっています。21年度末時点の未納入額は123億円、未精算額は400億円で、FMSによる調達が増えれば一層拡大する恐れがあります。

国内の軍事企業も支援

 安保3文書に基づく大軍拡計画は、国内軍需産業にも大きな利益をもたらします。

 防衛省は、国産の長距離ミサイルとして▽「12式地対艦誘導弾能力向上型」の開発・量産▽「島しょ防衛用高速滑空弾」の量産▽「潜水艦発射型誘導弾」の開発―で三菱重工と契約を結んだことを明らかにしています。契約額は総額で3781億円に上ります。

 国会では、安保3文書に基づき国内の軍需産業を武器輸出などで財政的に支援する軍需産業支援法案の成立も狙われています。

 軍事緊張を高め、日米の軍需産業の利益に奉仕する大軍拡計画は直ちに中止すべきです。


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