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2023年4月29日(土)

きょうの潮流

 その昔、地中海沿岸のアラブ人たちは、サハラ砂漠のかなたに広がる土地をビラード・アッスーダーン(黒人の国々)と呼びました。一帯には早くから王国が形成され栄えた歴史があります▼ナイル川の上流にあるスーダン共和国はその名に由来します。19世紀からエジプトやイギリスの支配下に置かれ、第2次大戦後の1956年に独立。しかし軍事クーデターが相次ぎ長く内戦状態に▼1989年、クーデターによって成立したバシル政権は人権を抑圧する強権政治を続けました。2003年には「最悪の人道危機」といわれたダルフール紛争を招き、11年には南部が南スーダンとして分離独立。民主化運動もありバシル政権は19年に崩壊しました▼その後、国軍によるクーデターが起きましたが、昨年末から、ようやく市民勢力と民政移行にむけて合意。新たな政府へとふみだしたところに正規軍と準軍事組織の勢力争いによる衝突が起きました▼スーダンにはすでに数百万人もの国内避難民がいるとされ、人道危機はさらに深刻に。首都ハルツームでは医療施設の6割以上が閉鎖されているといいます。あまたの女性や子どもが栄養失調に陥り、支援を必要としている人たちが激増しています▼停戦合意にも爆発音や銃声が響いているという報告も。他国の支配や介入によってアフリカ諸国は長く混乱してきた歴史があります。これ以上スーダンの戦闘が拡大し、犠牲者を増やさないためにも、国際社会は手だてを尽くす責任があるはずです。


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