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2023年4月28日(金)

オーストリア共産党

州議会で歴史的躍進

“生活苦寄り添った結果”

 【ベルリン=桑野白馬】オーストリア西部ザルツブルク州で23日に行われた州議会選挙(定数36、比例代表制)で、オーストリア共産党が11・7%を得票し、4議席を獲得しました。前回(2018年)の得票率0・4%から大幅に前進。欧州メディアは保守・国民党の地盤での共産党の躍進を「歴史的」と報じています。


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 ザルツブルク州で共産党が議席を得るのは1949年以来初めて。当選した議員の年齢は30~40代です。党の関係者は本紙に「住民の困難を把握し徹底して寄り添い、解決に向け具体的に行動した」ことが躍進を呼び込んだと明かしました。

 州は著名な観光地として名をはせる一方、住民の暮らしは置き去りにされてきました。建設ラッシュで賃貸住宅価格が上昇。賃金が国の平均を下回る状況で、10%超のインフレが生活苦に追い打ちをかけました。住宅問題や物価高騰への対策が争点となり、投票率は前回比6ポイント増の70・9%に達しました。

 州都ザルツブルク市での共産党の得票率は21%超で、第2党となりました。今回の選挙で同党の筆頭候補を務めたカイ・ダンクル市議(34)は「生活苦の解決を望む有権者が与党に警告したものだ」と地元メディアに語りました。

 ダンクル氏は他の党員と共に給料の一部を寄付し「社会問題の解決」に活用。住居や福祉制度に関する相談に応じたり、申請を助けたりして住民の信頼を得てきました。

 州政権の中心を担ってきた国民党の得票率は30・4%(前回比7・4ポイント減)にとどまりました。その他の主要政党の得票率は極右・自由党25・7%(6・9ポイント増)、社会民主党17・9%(2・2ポイント減)、緑の党8・2%(1・1ポイント減)となっています。

 オーストリア共産党は国会に議席を持っていないものの、地方で前進傾向にあります。21年、南部グラーツ市の市議会選挙で3割を得票。共産党員のカール市長が誕生し、公共住宅の整備や家賃引き下げに取り組んでいます。


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