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2023年4月27日(木)

ロシア・プーチン政権 徴兵逃れ阻止へ“電子招集”

えん戦ムードに危機感 抑圧強める

 ウクライナ侵略戦争の長期化で一部に現れたえん戦ムードに危機感を抱くロシアのプーチン政権は、徴兵を効率化する「電子招集令状」法案や反対派を狙い撃ちにした法案を次つぎと成立させ、強権国家づくりに拍車をかけています。(田中健一)


 電子招集令状法案は11日、下院で審議が開始され即日可決。上院可決、大統領の署名を経て、14日に法律になりました。

政府サイト利用

 従来の招集令状は紙で、本人に直接手渡すのが原則。受理された時に初めて有効になります。そのためあえて住所を不特定にして、徴兵を逃れようとする若者が相次ぎました。電子招集令状は、この抜け道をふさぎ、徴兵対象者を確実に集めるのが狙いです。

 電子招集令状の送付についてロシアマスコミは「国内で幅広く使われる政府のポータルサイト『ガススルーギ』を使用する予定」と報じました。

 法律制定後、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで「秋の徴兵時期での実施準備に向け、電子版での試験送付が始まった」と現地ネットメディア「フォンタナ」が20日に報じました。

 「ガススルーギ」は2009年に初導入。ロシア政府は、利便性を強調し、パスポート発行、税金や公共料金の支払い、社会保障手続きなど使用範囲を拡大し、個人情報の電子管理を推進しました。登録者数は20年12月時点で約1億2600万人に達しています。

 電子招集令状の扱いについて、ロシア下院国防委員会のアンドレイ・カルタポロフ委員長は「招集令状は兵役義務のある人の個人アカウントに入った瞬間に届いたとみなされる」(英BBC)と述べました。

 徴兵対象者は出国禁止となり、招集令状を無視した場合は、運転免許停止、事業・不動産登録の禁止などの罰則が科されます。

最高刑引き上げ

 電子招集令状法案の審議で、上下両院の採決で唯一反対したリュドミラ・ナウソワ上院議員は「法案は国民の権利を制限し、ロシア憲法や既存の法律にそぐわない」と批判しました。同氏はウクライナ侵略に否定的な発言を繰り返しています。

 電子招集令状以外にも人権抑圧の法案採決が目立ちます。国家反逆罪の最高刑を禁錮20年から終身刑にし、テロ罪の最高刑を15年から20年に延長する法案は18日に下院で審議が始まり、即日可決されました。


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