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2023年4月27日(木)

きょうの潮流

 平和なくらしが一変したのは20年前でした。クルドの祭りに参加してトルコ当局から目をつけられた父親が身の危険を察し、日本へ。後を追って母親とともに来日したのが、当時11歳のハッサンでした▼しかし在留資格もとれず医者にもかかれない不安な日々。学校でのいじめや父親の収容、入管職員からは心ない言葉を浴びせられました。勉強に励んでサッカー選手への夢も抱いていたのに「どんなことをしても意味ないから国に帰りな」と(『ぼくたちクルド人』)▼日本に住みつづけ、まじめに学び、好きな仕事に就きたい。人間として普通に生きたい。そんな当たり前のことさえ、この国は許さないのか。そのうえさらに差別と迫害を助長し、命を危うくさせるのか▼「家族みんなで日本に住みたい」「私たちを追いださないで」―。岸田政権が強行しようとする入管法改悪案を阻止するため、国会前に集まった多くのクルド人の子どもたちが訴えました。難民として認められず、強制送還される恐怖を抱えながら▼国連からも「国際的な人権基準を下回る」と指摘されている法案。ただでさえ、日本の難民認定率はけた違いに低く、待遇も冷たい。入管収容所の劣悪さは、亡くなる人が相次ぐほどです▼ハッサンはいま、大学で人権について学んでいるそうです。自分が置かれている状況へのいくつもの「なぜ」。将来は国連の職員になって人権が保障されるような仕組みに変えたいといいます。誰もが人間らしく生きられる社会を願って。


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