2023年4月27日(木)
主張
会計年度任用職員
女性差別生み出す制度ただせ
地方公務員の非正規雇用化が進んでいます。雇用されて何年たっても初任給の水準に据え置かれる事例も多く、年収200万円未満の「官製ワーキングプア」が問題となっています。雇用の継続も約束されていません。
しかも、非正規の地方公務員に占める女性の割合は高く、女性に低賃金、不安定雇用を強いている実態を浮き彫りにしています。
非正規の女性割合が高く
いま非正規の地方公務員の約9割は会計年度任用職員です。
この制度は、会計年度ごとの1年契約を原則とする仕組みです。再任用も可能とされていますが、自治体によっては再任用の回数を制限しているところもあり、雇い止めが広がるおそれが指摘されています。女性の占める割合が非常に高いのが同制度の特徴です。総務省の調べでは76・6%が女性です(2020年)。
自治労連が22年に行った会計年度任用職員を対象としたアンケート調査(2万2401人が回答)では、勤続5年以上の人でも年収が200万円にも満たない人が少なくないことが明らかになりました。
回答者の86%に上る女性からはアンケートに切実な声が寄せられています。
「仕事は正職員並み、労働時間も同じ。なのに3年ごとに試験の受け直し、給料・ボーナスは低い、病気休暇が無給など待遇が悪い」(50代・一般事務、学校事務)「次の年度には仕事がないのではと常に不安でいます。どうやって生活していけばいいか切実な思いです。仕事のやりがいより不安が大きすぎます」(50代・図書館司書)
50代のDV相談支援専門員は「毎年更新があることに大変疑問と不安を感じる。業務は途切れることなく継続している。仕事内容、特に対人援助、相談業務は継続することが切れ目のない支援につながっている。担当者が毎年変わること自体サービスの低下ではないか」と記しました。
地方公務員は正規職員から非正規職員への置き換えが進められてきました。その中で資格を必要とし、経験や専門性が求められる仕事で、会計年度任用職員をはじめ非正規の労働者が多数となっています。
職種別に見た非正規公務員の割合は、一般事務職員23・3%、保育士等56・9%、給食調理員69・8%、図書館員73・3%などとなっています(上林陽治立教大学特任教授「会計年度任用職員白書2020」)。非正規といってもフルタイムと変わらない働き方も少なくないのに、年収は正規の3~4割という状況です。
不安定・低賃金の雇用では、経験と専門性の蓄積を困難にし、住民サービスにも影響します。
問題点を洗い出し改善を
日本共産党の田村智子参院議員は決算委員会(5日)で、保育、教育、図書館司書など公務公共が担うべき業務で非正規の割合が非常に高く、その多くを女性が低賃金で担っている現状を告発しました。会計年度任用職員制度は女性の犠牲のうえに成り立っている差別的な仕組みといっても過言ではありません。
男女賃金格差の是正、ジェンダー平等の視点でも会計年度任用職員制度の問題点を洗い出し、改善をはかるべきです。