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2023年4月26日(水)

主張

マイナ法案の採決

世論無視の保険証廃止やめよ

 健康保険証を2024年秋に廃止してマイナンバーカードに置き換える、マイナンバー法等改定案の採決が衆院地域・こども・デジタル特別委員会で強行され、与党などの賛成多数で可決されました。医療関係者や国民から出ている不安や反対の声を無視することは許されません。

国民皆保険を揺るがす

 マイナカードを取得するかどうかは任意です。しかし法案は、カードや紙の形で交付されている健康保険証を廃止してマイナカードに一体化させます。マイナカードを持たなければ医療機関の受診に著しい不便が生じかねないと脅して取得を強制するものです。

 健康保険に加入する被保険者に資格を証明する保険証を届けることは国や保険者の義務です。その責務を放棄することは国民皆保険制度を揺るがしかねません。

 マイナカードを持たない人には、保険証の廃止後、保険加入の「資格確認書」を発行するといいますが申請が必要です。有効期間があり、更新手続きも必要です。病気などで手続きできなければ、保険料を払っていても保険診療を受けられなくなる恐れがあります。

 医療現場では負担増や混乱が危惧されています。

 保険証ならば、記載されている名前や保険番号を病院や診療所の職員が見て確認すれば済みます。マイナカードの表面には被保険者の番号や保険者の名称などが書いてありません。医療機関がオンラインでカードの情報を読み込むことによって保険証として機能します。医療機関は専用のシステムを導入して、患者の保険資格を確認しなければなりません。

 全国保険医団体連合会の会員アンケートでは65%が保険証の廃止に反対しました。8割が窓口対応の増加、7割がシステムの不具合時に診療が困難になる恐れを訴えました。災害時の対応への不安も出されました。

 岸田文雄政権は、現行制度で社会保障、税、災害対策の3分野に限定されているマイナンバーの使途拡大を狙っています。

 法案は、行政分野でマイナンバー利用を推進するとして、理美容師や教員などの国家資格の手続きも対象にします。法で決められた事務に「準ずる事務」とされた事項への利用も省令で決められるようにします。国会の審議なしに政府の判断で使途を拡大できる仕組みを導入します。

 マイナンバーと年金などの公金受取口座のひも付けについての本人確認も緩和されます。本人が行政機関に不同意の回答をしなければ同意したとみなされます。

個人情報保護こそ強めよ

 政府は21年に施行したデジタル改革関連法で、政府が運営しているウェブサイト「マイナポータル」を入り口にして情報連携を拡大させ、さまざまな個人データを集積しようとしています。集まった情報は“もうけの種”のビッグデータとして利活用に回されます。そのために必要とされているのがマイナカードの利用拡大です。

 マイナカードの普及が長年進まなかったのは、プライバシー侵害やデータ漏えいへの不安が強いからです。デジタル化の推進は個人情報保護の強化と一体で進めなければなりません。保険証を人質に取ってマイナカードを押し付けることはやめるべきです。


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