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2023年4月25日(火)

新型インフル等対策特措法

井上議員の反対討論

参院本会議

 日本共産党の井上哲士議員が21日に行った新型インフルエンザ等対策特別措置法、反対討論要旨は、以下の通りです。


 本法案は、次の感染症危機に対する政府の体制づくりとして、一元的に感染対策を指揮する司令塔組織である内閣感染症危機管理統括庁を設置します。統括庁の定員は、緊急時には体制を強化するとしていますが、平時は38人で、行政組織的にも人的にも現行の内閣官房コロナ対策推進室と実質的に変わりません。

 感染症危機に備えるために必要なことは、これまでの政府の取り組みについての徹底した検証と科学的知見に基づく対策の強化です。本法案では、専門家の知見を生かす担保がありません。新たな健康危機管理研究機構法案でも、「業務を総理や厚労大臣に報告する」「総理や政府対策本部長が、必要があると認めるときは意見を述べることができる」とされているだけで、研究機構自らが問題意識をもって総理に対して意見を述べることが法律の規定で担保されていません。

 新型コロナ第6波以降の感染者増加、特に高齢者施設での施設内療養者の死亡事案が多数生じた事態の検証と対策の抜本強化は不可欠です。国の責任で全国の高齢者施設での実態や、亡くなった方の詳細を調査して検証することを求めましたが、調査について岸田総理から明確な答弁がありませんでした。

 病床ひっ迫を理由に施設での留め置きが行われ必要な医療にアクセスできずに亡くなる事案が多数生じた背景には、医師や看護人材の絶対数が不足して平時の医療体制に余裕がなく、緊急時の対応ができなかったことがあります。総理は医療従事者の弾力的配置等を言うのみで、人員体制の強化、増員については言及がありません。これでは司令塔を強化すると言っても、危機には対応できません。

 政府は、新型コロナの感染法上の扱いを5月8日から季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げる方針を決定しました。一昨日、厚労省新型コロナ対策アドバイザリーボードの会合で、専門家らが「新型コロナウイルスと季節性インフルエンザは大きく異なる疫学的特徴を持っており、その状況は変わっていない」「今後、第9波流行が起こる可能性が高い」とする資料を提出しました。

 必要な医療体制がととのわないままで、拙速な5類移行は行うべきではありません。感染症対策に反省も改善もないままに、形だけの組織いじりにすぎない本法案に反対します。


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