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2023年4月25日(火)

主張

武器輸出拡大協議

殺傷兵器解禁 到底許されない

 岸田文雄政権が昨年末に決定した安保3文書に基づき、自民、公明両党は、武器輸出のいっそうの拡大に向け、「防衛装備移転三原則」の「運用指針」を見直そうとしています。両党は、そのための初の実務者協議を25日に開きます。自民党は、殺傷能力のある武器の輸出解禁を狙っています。

安保3文書に基づく企て

 「防衛装備移転三原則」とその「運用指針」は2014年に安倍晋三政権が決定しました。それまで武器輸出を原則禁止していた「武器輸出三原則」を廃止し、原則解禁へと、憲法に基づいた国是を百八十度転換しました。

 「武器輸出三原則」は1967年に佐藤栄作首相が三つの地域(▽共産圏諸国▽国連決議による武器禁輸国▽国際紛争当事国とその恐れのある国)には武器輸出を認めないと国会で表明したものです。76年には三木武夫首相が政府統一見解として、三つの地域以外も、憲法の精神にのっとり武器輸出を慎むと国会で答弁し、実質的に全面禁止されました。

 83年以降、武器の対米技術供与や共同開発・生産などが認められ、なし崩し的に空洞化が進みましたが、あくまで例外扱いでした。

 安倍政権が策定した「防衛装備移転三原則」では、武器輸出を禁止するのは、条約などの国際約束や国連安保理決議に基づく義務に違反する場合や、国連安保理が実施する制裁などの措置の対象となっている紛争当事国に対するものに限られました(原則1)。武器輸出大国の米国も含め、国連加盟国であれば順守すべきことが記述されているにすぎません。

 武器輸出を認めるのは、「平和貢献・国際協力」や「我が国の安全保障」に資する場合(原則2)で、目的外使用と第三国移転について適正管理が確保される場合(原則3)とされ、政府の判断次第で拡大が可能です。

 「防衛装備移転三原則」に関する現行の「運用指針」は、米国など日本と安全保障面で協力関係がある国に対しては、戦闘機やミサイルなど殺傷能力を持った武器の輸出を共同開発・生産に限り認めています。それ以外にも、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5分野で武器輸出を認めていますが、殺傷性武器は含まれません。

 昨年3月に指針を一部改定し、ウクライナへの武器輸出も認めましたが、殺傷性武器の輸出は除外されています。そのため自民党内で殺傷性武器を含め輸出範囲の拡大を求める声が強まっています。

 安保3文書は、「防衛装備移転」に関し、インド太平洋地域で日本にとって望ましい安全保障環境を創出するための「重要な政策手段」などとして「推進」を明記し、「制度の見直しについて検討する」としました。今回の与党協議はこれを踏まえて行われます。

憲法の平和主義に反する

 3文書は、「官民一体となって防衛装備移転を進める」ともし、軍事企業への支援拡充を強調しています。これを受け、衆院で審議中の軍需産業支援法案は、政府の求めで輸出する武器の仕様や性能を変更する場合、その費用を助成する仕組みを盛り込んでいます。

 武器輸出の推進・拡大の動きは、憲法の平和主義に真っ向から反する「軍事国家づくり」の一環です。岸田・自公政権の危険な企てを許してはなりません。


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