2023年4月23日(日)
きょうの潮流
坂本龍一さんの遺影を前に、たくさんの人が思いをつなぎました。「社会にたいする憂いと愛を持って、彼の姿勢と意志に連なるように」▼きのう、神宮外苑の再開発見直しを求める集いが現地で開かれました。坂本さんが共同主宰をつとめた有志によるもので、ミュージシャンらも参加。反対署名には長蛇の列ができ、先人が100年かけて守り育ててきた貴重な森や樹木を犠牲にすべきではないと抗議しました▼大手不動産会社によって建てられようとしているのは営利目的の高層ビル群。そのためにイチョウ並木をはじめ、都民の憩いの場所が奪われようとしています▼「外苑の再開発は東京五輪の悪(あ)しき副産物。むしろ、そのためにオリンピックを誘致したのではないか」。再開発差止訴訟の原告団長で実業家のロッシェル・カップさんはいいます▼もともと、この地域は自然環境を守るための風致地区に指定され、高さ15メートルまでの建物しかつくれませんでした。しかし新国立競技場の建て替えを口実に、外苑全体の高さ制限まで緩和されました▼招致のときから開催の目的や意義が問われ続けた東京五輪。国民の多くが反対したコロナ禍での強行、有罪判決も出ている底なしの汚職事件。そのうえ将来にわたる負の遺産を、さらに増やそうとするのか。亡くなる直前まで反対していた坂本さんは、一人ひとりの市民に、選挙でみずからの意向を投影することは可能だと呼びかけていました。この国の将来がどんな姿であってほしいのか、と。








