2023年4月22日(土)
きょうの潮流
「前事不忘・後事之師」。過去を忘れず未来の教訓にするという、中国の故事です▼岸田政権が中国を口実に戦争準備をあおるもと、私たちが教訓にすべき前事は、中国の東北部に幻の「満州国」を建国し、27万人を送り込んだ満蒙開拓団の侵略・加害の事実でしょう▼長野県南部の阿智村にある満蒙開拓平和記念館で元開拓団の語りを聞きました。語り部は、愛知県の東三河郷開拓団の一員として7人家族で満州に渡った、87歳の橋本克巳さんです▼“水のみ百姓”の家族に、「20町歩をただでくれる」という約束でした。「実体は、日本向けの食料増産と北方防衛という国策に従うことでした。ソ連への“人間の盾”として、ライフル銃を一軒一丁ずつ渡された。開拓は名ばかりで、日本軍が周りの農家の土地を取り上げて開拓団に渡した。青田接取といって、実った作物ごと取り上げ、恨みも買った。これは侵略で、侵略者の子どもということを終生忘れられないし、忘れてはいけないことだ」と▼日本が無条件降伏し満州国は消滅。開拓団は現地に棄民状態に。「現在私がいるのは、満人や蒙古の部落に泊めてくれ、助けてくれたから。人種、国、民族…違うけど仲良くするのが人間の使命だと思った」▼戦争の愚かさと平和の大切さを伝えたいと語る橋本さん。「人類は、地球規模の食料問題につき当たります。軍事ではなく砂漠を緑にするなど世界の食料確保に、お金を使ってほしい。互いに助け合う人類の大義の前に、戦争は無用です」








