2023年4月21日(金)
学術会議法改悪案 見送り
広がる批判 政府追い込む
民間法人案俎上に
政府は20日、日本学術会議法改悪案の今国会提出を見送る方針を決めました。後藤茂之経済再生担当相が官邸で岸田文雄首相に報告後、記者団に提出見送りを表明。「日本学術会議の理解を得られないまま閣議決定した場合、政府との決定的な決裂を招く恐れがある」と述べました。岸田首相は記者団に「改めて学術会議と丁寧に議論し、早期に結論を得るよう伝えた」と語りました。
一方で後藤担当相は、学術会議を「民間法人とする案を俎上(そじょう)に載せ、再度議論を進めたい」とも述べました。
学術会議は18日の総会で、政府に今国会への法案提出を断念し、開かれた協議の場を設けるよう勧告していました。学術会議が勧告を出したのは13年ぶりで、総会で決議した勧告としては18年ぶり。
政府案では、学術会議は会員選考に際し、外部の第三者からなる新設の「選考諮問委員会」の意見を「尊重しなければならない」と規定。諮問委の委員は、首相が議長を務める総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員らと協議の上で学術会議会長が任命するなどとしており、強まる政府の介入への懸念が高まっていました。
政府が昨年12月に法改悪方針を示して以降、学術界からは学術会議の独立性が損なわれるとして再考を求める声明が続出。学術会議の歴代会長5人や、日本のノーベル賞受賞者ら8氏が声明を発表していました。世界のノーベル賞学者61人も懸念を共有すると表明するなど国際的な批判も広がっていました。こうした声が政府を法案提出見送りに追い込みました。