2023年4月19日(水)
主張
ミャンマーの弾圧
民主求める抵抗はつぶせない
クーデターから2年たったミャンマーで国軍が一段と弾圧を強めています。民主化を求めるたたかいはやむことがありません。国民の意思は明確です。国際社会もそれを支持しています。国軍は直ちに暴力をやめ、クーデター後に東南アジア諸国連合(ASEAN)と交わした「5項目合意」に沿って対話に乗り出すべきです。
民間人攻撃を世界が非難
11日、北部ザガイン地域の村が戦闘機や軍用ヘリコプターで爆撃され、160人以上が死亡しました。国軍に抵抗する国民統一政府(NUG)の事務所開所式を狙ったとされますが、一般住民を含めた無差別の攻撃でした。今回の犠牲者数は1回の空爆として最多といわれます。
国連のグテレス事務総長は強く非難し、ASEANは「民間人に対する武力行使を直ちに停止すべきだ」とする議長声明を発表しました。
3月29日には、クーデター前の政権党だった国民民主連盟(NLD)をはじめ40の政党が解散を命じられました。「総選挙」実施に向けた政党の再登録に応じなかったことが理由とされています。再登録したのは国軍系など50の政党といわれます。2020年11月の民主的な選挙で選ばれた政権を武力で転覆し再選挙を行うことに何の正統性もありません。
国軍は、見せかけだけの選挙すら実施の見通しを立てられません。クーデター後2年を期限に発令した非常事態宣言は6カ月間延長せざるをえませんでした。2月には全郡区の1割を超す37郡区に戒厳令を敷きました。少数民族武装組織や民主派の抵抗が激しい地域を抱えていては選挙など実施できません。
国連でミャンマーの人権問題調査を担当するアンドルーズ特別報告者は3月、国連人権理事会に人権状況の著しい悪化を報告しました。2年間で5万8000戸の住宅や民間施設が焼かれ、130万人以上が住まいを追われ、3000人以上の民間人が殺されたといいます。弾圧で獄中にいる人は1万6000人以上にのぼります。
報告書は「軍政の国家統治評議会(SAC)は国家機構、行政サービス、法の支配、経済を崩壊させている」と述べ、ミャンマーが地域の不安定要素となっていることに懸念を表明しました。「抑圧と暴力を中心とする戦略は民衆の抵抗を燃え立たせ、SACはますます国を管理できなくなっている」と分析しました。
正常化の基礎となるのが5項目合意です。暴力の即時停止、平和的解決に向けた全当事者の対話、ASEAN特使による仲介、ASEAN特使による全当事者との面会などを盛り込んでいます。
5項目合意を履行せよ
ASEANの役割は22年12月に採択された国連安全保障理事会決議でも支持されています。決議は民主化指導者アウンサンスーチー氏ら恣意的に拘束されたすべての人の解放、人権尊重、平和的解決に向けたASEANの中心的役割を明記しました。
国軍は5項目合意を実行せず、スーチー氏とASEAN特使の面会も拒んでいます。ASEANは2月に開いた外相会議で改めて軍政と民主派を含む「包括的な対話」を呼びかけました。国軍は積極的に応えなければなりません。








