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2023年4月18日(火)

主張

G7と気候危機

緊急性に見合う取り組み急げ

 札幌市で開催されたG7(主要7カ国)気候・エネルギー・環境相会合(15~16日)は、共同声明を採択しました。気候危機を打開するための焦点課題である石炭火力発電の段階的廃止の時期は共同声明に明記しませんでした。石炭火力の活用に固執する日本政府の抵抗があったと指摘されています。地球の現在と未来にかかわる問題で後ろ向きの岸田文雄政権の姿勢は重大です。G7議長国としての責任を果たせるのかと厳しい視線が向けられています。

後ろ向きの議長国・日本

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は3月、「第6次統合報告書」を発表し、世界の平均気温は産業革命前からすでに1・1度上がっており、各国が現在示している温室効果ガス削減目標のままでは1・5度上昇すると警告しました。

 同報告書は、上昇を1・5度までに抑えるには、温室効果ガス排出量を2035年までに19年比で60%削減することが重要であることを強調しています。

 G7環境相会合の共同声明は、「IPCCの最新の見解」を踏まえて、35年までの60%削減は「緊急性が高まっていることを強調する」と明記しました。人間の活動によって急速に進む気候変動がもたらす深刻なリスクを直視し、早急に対策を強化しなければなりません。

 歴史的に見て温室効果ガスを大量に排出してきたG7各国には、削減目標を大幅に引き上げる特別の責任があります。

 特に議長国である日本の姿勢が問われています。岸田政権が掲げている現在の削減目標(30年度までに13年度比46%削減)では不十分です。これは10年比で42%削減にすぎず、欧州連合(EU)の55%削減などから見ても著しい立ち遅れです。

 日本の現在の目標のままでは「35年に60%削減」を達成できる見通しはありません。低すぎる目標を根本的に見直し、世界平均以上の目標で温室効果ガスの削減を進めなければなりません。

 環境相会合では世界の脱炭素の流れに逆行する日本の立場を際立たせました。石炭火力については、昨年のG7合意から前進は図られませんでした。イギリスなどは、35年までに電力を完全に脱炭素化することを主張しました。しかし、今回の共同声明は、35年までに電力部門では、大部分の脱炭素化の達成とし、昨年のG7と同様の表現にとどまりました。ドイツなどが求めた石炭火力の段階的廃止時期の明確化も見送られました。

 日本が主張した水素・アンモニアを混焼する石炭火力については容認することが共同声明に盛り込まれました。しかし、条件付きです。たいした削減効果も期待できないのに石炭火力の延命につながることに、欧州からの批判があったためと言われます。岸田政権が石炭火力を存続させる立場から決別する姿勢に転じない限り、世界の信頼は得られません。

エネ政策の根本的転換を

 岸田政権が今国会に提出した原発推進等5法案とGX(グリーントランスフォーメーション)推進法案は、原発回帰と石炭火力固執を鮮明にしており、国民の願いに反します。再生可能エネルギーの普及拡大と省エネの本格推進に今こそかじをきる時です。


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