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2023年4月18日(火)

きょうの潮流

 東日本大震災のわずか3日後でした。ときの首相が「事故の以前と以後ではまったく違う状況になった」と、脱原発に足をふみだします。稼働延長策から転換し老朽化したものを停止。安全なエネルギー供給に関する倫理委員会を設けます▼そこでは原子力の倫理的な問題や気候変動に直面するなかで代替エネルギーを検討。将来のビジョンも話し合いました。そして、福島原発事故から5カ月後、政府は脱原発法を成立。22年末までに全原発を閉鎖することを決めました▼当の日本ではなく、ドイツの動きです。ロシアのウクライナ侵攻で予定はのびたものの、今月15日にすべての原発が停止されました▼「社会として脱原発を達成するのは大きな成功」。ドイツ・レムケ環境相の喜びの声を本紙特派員が伝えています。一方、事故から12年が過ぎても収束の見通しさえたたず、いまだ荒れ果てた故郷を追われた人びとの苦しみや悲しみがつづく日本では再び原発への回帰が強まっています▼これまでの政策をなげすてた岸田政権は原発の新増設を地方に押しつけ、さらなる運転延長にも前のめりです。再生可能エネルギーの普及には、後ろ向きのままで▼「日本には理想がないとは思わないが、企業が利益を追求する力が非常に強く、理想の力を弱めているのではないだろうか」。倫理委員会の委員だったミュンヘン工科大のミランダ・シュラーズ教授はいいます。そして3・11後のいまこそ、政治に倫理を導入することが求められているのだと。


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