2023年4月13日(木)
地域公共交通活性化・再生法改定案
田村智子議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の田村智子議員が12日、参院本会議で行った地域公共交通活性化・再生法改定案の質問の要旨は以下の通りです。
本法案の最大の焦点は「ローカル鉄道の再構築」の名のもと、赤字を理由としたローカル鉄道の廃止・バス等への転換が大規模に進みかねないことです。
昨年、国土交通省の「(鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する)検討会」は、輸送密度1000人未満の路線・区間にバス転換等の選択肢を示し、関係自治体と鉄道事業者による「再構築協議会」を設置し、3年以内に結論を出すよう求めました。この提言を受け、本法案は、鉄道事業者、自治体どちらかの要請で、国交相が再構築協議会を組織するとしています。
輸送密度1000人未満の路線、区間すべてを同協議会の対象と考えるのか、さらに広がる可能性はあるのか。衆院の質問で斉藤鉄夫国交相は「協議会の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があるのではないか」と答弁しました。相当数の線区がバス等に転換されると想定しているのでしょうか。
自治体との協議で5年前に廃線となった三江線について、島根県知事は「大きな会社と小さな自治体が、協議するとは言いながらも事実上はもう抗しきれない構図の下で廃線が決まっていった」と述べています。事業者のJRが赤字を理由にバス転換を主張すれば、自治体は住民の足の確保のためにやむなく廃線を受け入れざるをえなかったのが実態ではないでしょうか。
タクシーの協議運賃制度では、認可運賃よりも低くなる下限割れが危惧されますが、そうならない条文上の歯止めはありますか。国交省は、不当な競争を引き起こす運賃が設定された場合、変更命令を出せると胸を張りますが、現に運賃を引き下げる事業者がいるもと一度でも変更命令を出したことがあるでしょうか。交通空白や交通不便地域が対象といいますが、タクシー特措法に基づく特定地域、準特定地域からはずれれば、東京や大阪などでも協議運賃が可能となるのではないですか。
北海道の深名線(深川―名寄間)は1995年に廃線され、バスが運行されていますが、分断され本数も減少。広域移動が著しく損なわれたことは明らかです。鉄道網はバス路線とは異なる役割を担っています。誰もが広域に移動でき、全国に移動でき、全国から地域に人を呼び込む鉄道網があってこそ地域活性化の可能性が広がるのではないでしょうか。
国鉄分割・民営化によって地域鉄道は民間任せ、一方で国は自動車道、空港・港湾建設に巨額の予算を投じてきました。国民の財産・鉄道網を衰退させ過疎化に拍車をかけてきたといわざるをえません。その反省にたち鉄道網を守り生かす政策への転換を求めます。