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2023年4月12日(水)

生活保護 減額は違法

奈良地裁 国を9度目断罪

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(写真)判決内容を伝える原告と支援者ら=11日、奈良市

 奈良県内の生活保護受給者らが保護基準引き下げ処分の取り消し等を求めた「奈良いのちの砦(とりで)」裁判の判決が11日、奈良地裁でありました。寺本佳子裁判長は2013年の生活保護費の基準引き下げは違法だとする判決を下しました。

 全国29地裁でたたかわれている同様の裁判で、国の違法性を断罪したのは9度目。3月の青森、和歌山、さいたまに続く原告勝訴です。

 判決は、08年以降の物価下落による「デフレ調整」については合理性を欠くもので、厚生労働大臣の裁量権の逸脱・乱用だと判断。一般の低所得世帯との生活実態の乖離(かいり)を解消する名目の「ゆがみ調整」については裁量権の範囲だとしました。

 また原告が引き下げられた生活保護費を元に戻せと保護費の増額を求めた正当性を認めませんでした。

 奈良市で開かれた報告集会で、原告の一人(72)は「家賃の共益費は自己負担になる。物価高において今の支給額では生活が大変」と実情を語りました。

 弁護団が声明を発表し、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を具体的に保障する勝訴判決だ」と評価。一方で、引き下げられた保護費を元に戻すことを認めなかった点は不当だと訴えました。


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