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2023年4月11日(火)

主張

統一協会と自民党

長年の癒着全て明らかにせよ

 統一協会の開祖・文鮮明(故人)が1992年に来日した際、当時の金丸信・自民党副総裁(故人)が法務省に働きかけて入国の便宜を図っていたことが6日に公開された韓国外務省の外交文書で明らかになりました。法務省は当初、入国を認めない立場でした。しかし、金丸氏が身元を保証するとしたため特別に許可されたことが同文書に記されています。自民党と統一協会の長年にわたる癒着の一端を改めて浮き彫りにしています。文鮮明来日は、統一協会の活動を後押しし、被害を拡大させたとされます。政府方針が変更された全容の解明が欠かせません。

文鮮明入国に金丸氏便宜

 文鮮明は過去にアメリカで所得税法違反の罪で1年以上服役しています。入管法の規定では入国は禁止されています。

 韓国で公開された外交文書によれば、入国を拒否する方針だった法務省は、金丸氏の働きかけに加え、外務省も「特別意見しなかった」ため、最終的に判断を変えたとされています。この情報は在日韓国大使館が日本の外務省に非公式に問い合わせをして得たとしています。

 外交文書には、文鮮明が来日中(3月26日~4月1日)に滞在したホテルで2時間にわたって金丸氏と会談したことなども記載されていました。

 韓国外務省は作成から30年が経過した外交文書を公開しています。文鮮明の来日を巡って金丸氏の口利きによる特別の事情があったことは、当時から国会でも問題になっていましたが、外交文書によって裏付けられた形です。

 文鮮明来日は、自民党内のグループである「北東アジアの平和を考える国会議員の会」の招待によるとされ、同会メンバーに講演もしています。中曽根康弘元首相とも会談しました。統一協会は13年半ぶりの来日を利用し、被害をさらに広げた機会になりました。

 自民党の有力者の力で政府の方針がゆがめられた経過は全面的に明らかにされなければなりません。しかし、松野博一官房長官は韓国外交文書公表を受けた6日の記者会見で「当時の法相の判断として適切なものだった」と述べるなど解明に背を向けています。

 安倍晋三政権下の2015年、文化庁が統一協会の名称変更を認証した過程も不明のままです。「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に名称変更したことで正体を隠した資金集めや人材獲得ができるようになり、被害を拡大させる転機になったとされます。それまで認められなかった名称の変更が、安倍元首相の側近の1人だった下村博文文部科学相の下で一転して実現したのはなぜか。国民に説明すべきです。

徹底解明は政治の責任

 岸田文雄首相は統一協会と「関係を断ち切る」と言います。しかし、実際は国会議員や地方議員の個人任せにしており、党として責任を持った調査を行う姿勢はありません。統一地方選でも統一協会の問題は口を閉ざしています。あまりに無反省です。救済を求める被害者の声にも反します。

 自民党と統一協会は半世紀以上にわたって深い関係を築き上げてきました。その闇を洗いざらい明らかにすることなく、完全に決別することはできません。岸田政権の逃げを許してはなりません。


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