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2023年4月7日(金)

主張

インボイス制度

中止に追い込む運動広げよう

 岸田文雄政権が消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入を予定する10月1日まで、6カ月足らずとなりました。

 インボイス制度で負担を強いられるフリーランスなどから「廃業を考えざるをえない」との悲鳴とともに、導入の延期や中止を求める声が大きくなっています。

 政府は、3月末としていた事業者の登録申請期限を9月30日まで事実上延長する措置をとりました。制度の抱える問題を取り除くものではありません。インボイス制度はきっぱり中止すべきです。

フリーランスなどに負担

 インボイス制度の導入で、政府は約2480億円の税収増になるとしています。インボイスに登録して新たに消費税を課税される事業者が増えると見込んでいるためです。「税率を変えない消費税増税」と批判されている理由です。

 これまで売上高1000万円以下の中小業者や個人事業主は、免税事業者として、消費税納入の義務はありませんでした。

 インボイス制度では課税事業者にならざるを得ない状況に追い込まれます。免税事業者のままでいることを選択しても、取引先が課税事業者の場合、インボイスが無ければ、仕入れ額の分の消費税が控除できないため、インボイスの登録を求められたり、取引から排除されたり、消費税分の値下げを求められたりするおそれがあります。

 民間調査会社の東京商工リサーチが昨年12月に実施したアンケート調査では、インボイス制度に登録しない免税事業者と「取引しない」と回答した企業が10・2%と1割を超えました。

 日本商工会議所は2023年度の「税制改正に関する意見」で、「消費税インボイス制度の導入延期を含めた対応」を強く求めました。「同制度が導入された場合、免税事業者(約500万者)が取引から排除されたり、不当な値下げ圧力等を受けたりする懸念があることに加え、発行する請求書の様式変更、システムの入替・改修、受け取った請求書等に登録番号があるかの確認」などがあるとして、「事業者にとって多大な負担が生じる」と訴えました。

 同意見書は「制度導入後の混乱が避けられない場合は、制度の導入時期を延期すべきである」としています。この声を無視してはなりません。

 インボイス制度の影響を受けるのは、売上高1000万円以下で、企業と取引をしている小規模事業者、個人事業主やフリーランスなどです。声優、アニメーター、一人親方、個人タクシー、シルバー人材センターで働く高齢者、日雇い労働者などが新たに消費税を負担する可能性があります。

 個人タクシーの運転手は、会社員の乗客が経費で精算するためには、インボイスを求められます。課税事業者となれば、売り上げ300万円で消費税負担は、おおよそ15万円との試算があります。

「激変緩和」で解消せず

 延期や中止を求める声の広がりに、政府は「激変緩和」措置をとるとしています。免税事業者が課税事業者になった場合、26年9月30日まで税負担や事務負担を軽減するなどとしますが、問題は解消できません。

 力を合わせ、インボイス制度を中止に追い込みましょう。


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