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2023年4月6日(木)

主張

高等教育の無償化

子育て世代の願いにこたえよ

 子どもの教育費負担を何とかしてほしい―。子育て世代の切実な願いです。とりわけ大学などの高等教育に多額の費用がかかることは、若い世代が子どもを持つことに二の足を踏む大きな要因になっています。ところが岸田文雄政権が3月末にまとめた「子ども・子育て政策」の試案(たたき台)には、高等教育費の無償化をはじめ、抜本的な軽減策は盛り込まれていません。若者世代の声に背を向けたまま、安心の子育て社会を実現することはできません。

奨学金返済に苦しめられ

 「日経」(3月25日付)は、子育て中の1000人に聞いた「実現してほしい子ども政策」ランキングを報じました。トップは「国公立の小学校から大学までの無償化」でした。「無償になればありがたい。子どもの可能性をつぶさないですむ」(30代母親)「子どもがいる家庭は罰ゲーム状態。子育てにお金がかかりすぎて…」(40代母親)などの言葉が紹介されています。

 小学校・中学校の給食費を国の制度として無償化することなどとともに、最もお金がかかるとされる高等教育の負担をどう解消するかは待ったなしの課題です。

 労働組合などで構成する「労働者福祉中央協議会」(中央労福協)は3月、「奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書」を発表しました。日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用した2200人から意見を聞いてまとめたものです。奨学金返済が結婚など生活設計に影響しているとの回答は3割以上、貯蓄への影響は7割弱あり、「日常的な食事」に影響があった人も4割超です。返済に追われ医療機関も受診できず、生活費を削っている(33歳女性の非正規雇用)などの声も寄せられました。貸与型奨学金の返済が重くのしかかり、若者の将来への希望を奪っていることは極めて深刻です。

 日本共産党の田村智子副委員長は3月28日の参院予算委員会で、日本学生支援機構の貸与型奨学金の総貸付残高が2021年度末時点で約9兆5156億円にのぼることを明らかにしました。06年度末時点の2倍の規模です。

 08年のリーマン・ショック以降、親世代の収入が落ち込む中で、高い学費を払って大学に進学するには奨学金に頼るしかない学生が大幅に増えたことを浮き彫りにしています。

 返済猶予などでは先延ばしになるだけで、負担はなくなりません。全員分の返済総額を半額免除するような思い切った対策に踏み切ることが必要です。現在返済中の人の半額免除の費用は総額3兆8000億円です。岸田政権が5年間かけて大軍拡につぎ込もうとしている43兆円の10分の1以下です。軍拡を最優先した政治からの転換が急務です。

全ての人に権利の保障を

 中央労福協は3月、「高等教育費の漸進的無償化と負担軽減へ向けての政策提言」をまとめました。▽大学、短大、専門学校の授業料の半額▽奨学金の無利子化の加速▽給付型奨学金の拡充―などが柱です。「人々が豊かに生きるためには、すべての人々に高等教育を受ける権利が保障され、高等教育を受ける機会が平等であることが重要」と強調しています。

 授業料ゼロ・入学金ゼロ・本格的な給付型奨学金の創設に向けた取り組みが急がれます。


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