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2023年4月4日(火)

「敵基地攻撃否定」の田中首相答弁

防衛研究所が確認

04年報告書で

 「専守防衛」とは「相手国の基地を攻撃することなく」防衛することだとした1972年の田中角栄首相(当時)の答弁の見解を、防衛省の防衛研究所が21世紀に入ってからも維持していたことが同研究所の資料などから分かりました。

 田中首相の答弁では「専守防衛ないし専守防御というのは、防衛上の必要からも相手国の基地を攻撃することなく、もっぱらわが国土及びその周辺において防衛をおこなうということ」としていました。日本共産党の志位和夫委員長が1月31日の衆院予算委員会で、田中答弁と敵基地攻撃能力保有との「整合性」を追及していました。

 防衛研究所が2004年にまとめた報告書で、田中首相の答弁について「防衛上必要であっても敵基地攻撃を実施することを否定している」と確認。さらに「この答弁は近年あまり引用されていないが、(首相の)所信表明演説に対する質問への答弁であり、委員会等におけるアドホックな(その場に合わせた)答弁とは性質が異なる。敵基地攻撃能力保有を検討する際は、田中答弁との整合性の確保、説明が必要となる」と明記しています。

 岸田文雄首相は、志位氏の追及に対し「田中総理の答弁は…武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する、いわゆる海外派兵は一般的に憲法上許されない、こうしたことを述べたもの」などと答弁。志位氏は「全く説明になっていない」と厳しく批判しました。

 岸田首相が示した「新解釈」は、2020年11月26日の参院予算員会で岸信夫防衛相(当時)が示していたものです。「新解釈」では「防衛上の必要から」であっても、「相手の基地」=敵基地は攻撃しないと明言していた田中答弁が“敵基地攻撃を否定していない”という奇妙な論理となります。全く「整合性」が説明されていません。“武装部隊の海外派兵による敵基地の空爆は許されない”ということになりえても、“ミサイル攻撃は否定されない”ということにもなってしまいます。


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