2023年3月31日(金)
PFAS 汚染源特定
81地点のわずか2カ所
“環境省は自治体任せ”の声
![]() (写真)PFASへの対応を議論した環境省の専門家会議=28日、東京都内 |
米軍基地や工場の周辺など各地で検出され、健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)について、2021年度に実施された水質調査で国の暫定指針値を超える濃度が検出された13都府県の81地点のうち、汚染源が特定されているのは2地点だけであることが分かりました。自治体まかせでは汚染源特定や対策は進まないと指摘する声があがっています。
水質調査は、31都道府県1133地点で実施。代表的なPFASであるPFOSとPFOAの合計が国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超えたのは、河川が38地点、地下水が43地点でした。
環境省は自治体向けの対応の手引で、実態の把握や排出源の特定などを自治体に求めていますが、水質調査後の自治体の対応で汚染源が特定できたのは大分県の2地点だけでした。PFOAを使用していた工場敷地内の井戸水で、周囲の状況から判断されました。
環境省は、28日に開かれた専門家会議で、こうした自治体の対応状況について報告しました。委員からは、手引に「排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討する」と書かれているにもかかわらず必要な措置が書かれていないことについて「自治体に丸投げ。自治体も知見がないなかでやりようがない」として、手引の充実を求める意見が出ました。環境省側は、手引の改訂を検討するとしていますが、現時点で独自の排出源調査はしていません。
こうした状況について、米軍横田基地(東京都)周辺の住民らでつくる「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」共同代表の根木山幸夫さんは「米軍や大企業に忖度(そんたく)していては、汚染源の特定はできない。形だけの調査ではなく、本腰を据えた取り組みが必要だ。自治体が変わるには、国が変わらなくてはならない」と話しています。









