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2023年3月31日(金)

電気事業法等改定案

衆院本会議 笠井議員の質問(要旨)

 日本共産党の笠井亮議員が30日の衆院本会議で行った電気事業法等改定案への質問(要旨)は次の通りです。


 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次統合報告書は、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ2030年に排出限度に達すると警告しました。主要7カ国(G7)議長国として「50年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」の期限を大幅に前倒しすべきではありませんか。

 本法案は、脱炭素やロシアのウクライナ侵略に伴う「エネルギー危機」を口実に、「原発回帰」へと大転換するものです。重大なことは、原子力基本法を改定し、新たに原子力を利用する「国の責務」を掲げ、新規建設など将来にわたる原発活用のための法的枠組みをつくろうとしていることです。「原子力事業者の責務」として「自主的安全性向上」と称して安全対策を事業者任せにすることも看過できません。

 東京電力福島第1原発事故から12年、「安全神話に陥り福島事故を防げなかったことを真摯(しんし)に反省」としながら、原発を「最大限活用」することほど矛盾したことはありません。原発ゼロに踏み出すことこそ「国の責務」ではありませんか。

 岸田文雄首相も自民党も「原発の依存度を低減する」「新増設は想定していない」と言ってきました。ところが昨年の参院選後、法令上の根拠もない「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、財界・原子力産業界の要求を丸のみにし、原発の「最大限活用」「運転期間の延長」「次世代炉への建て替え」を決めたのです。

 3月4日の日本世論調査会の全国調査では、「原発の最大限活用」の方針を「評価しない」、「開発・建設推進」に「反対」のいずれも6割を超えています。

 原発の「推進と規制の分離」は福島事故の重要な教訓です。ところが本法案は、原子炉等規制法から原発の運転期間制限ルールを切り離し、推進側が所管する電気事業法に移すとしています。運転期間の原則40年ルールは、福島原発事故後に、老朽化による設備劣化などを考慮して導入されました。経済産業相が認めれば、原子力規制委員会の審査などで止まっていた期間を追加できる新たな仕組みは重大です。60年超の運転延長を認めれば、原発のリスクを高めることは明らかです。

 一方で、原子力規制委員会が導入する「長期施設管理計画」の審査は、電力会社が提出する書類のチェックだけです。

 再生可能エネルギーこそ、エネルギーの安定供給と自給率向上に力を発揮します。「原発回帰」を撤回し、「原発ゼロ」を決断することを強く求めます。


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