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2023年3月30日(木)

春なのに…給付減・負担増

社保・雇用の4月制度変更

4月からの主な制度変更
年金支給水準 実質0.3~0.6%減
雇用保険料率 0.1ポイント引き上げ
出産育児一時金 42万円から50万円に
医療機関 オンライン資格確認を原則義務化
賃金 デジタル払いの解禁
中小企業 月60時間の残業割増賃金が50%に

 4月から社会保障や雇用にかかわるさまざまな制度が変わります。急激な物価上昇が庶民のくらしを襲うなか、岸田文雄・自公政権はさらなる給付減・負担増を押し付けようとしています。

 68歳以上の公的年金支給額は実質0・6%減です(67歳以下は同0・3%減。振り込みは6月から)。少子高齢化に合わせて年金支給水準を下げる「マクロ経済スライド」が発動したため。68歳以上の場合、基準になる2022年の物価上昇率2・5%からマクロ経済スライドで0・6%引かれ1・9%増にとどまります。第2次安倍政権以降の11年間で実質7%以上の減額です。

 国民年金の満額は物価上昇に合わせれば4月以降は月6万6436円(1620円増)ですが、マクロ経済スライドで月6万6050円(1234円増)になります。

 児童扶養手当や特別児童扶養手当、原爆被爆者の各種手当などは物価上昇分を引き上げます。

 失業給付などに使われる雇用保険料の労働者負担が0・1ポイント引き上げられ0・6%になります(一般の事業の場合)。22年10月の0・3%から0・5%への引き上げに続く値上げで、月収30万円の労働者の保険料は、半年前の月額900円が1800円になります。

 政府は新型コロナウイルスの影響で雇用調整助成金の支出が増え、雇用保険財政が悪化したことを理由にします。保険財政悪化の大本にある国庫負担率の大幅引き下げには手をつけません。

 出産育児一時金は42万円から50万円に増額されます。一時金の増額は、幅広い国民の声が、妊娠・出産や子育てを自己責任にしてきた自公政権を動かしたものです。

 一方、自公政権は一時金増額の財源として、75歳以上の医療保険料を引き上げ、それによって生まれる資金の一部を充てようとしています。少子化対策を口実に世代間対立をあおる手法です。

 健康保険証機能を搭載したマイナンバーカードに対応した受付システムの導入を、医療機関に原則義務づけます(オンライン資格確認の原則義務化)。政府は健康保険証を廃止し同カードの普及を強引に進めようとしており、そのための環境整備を医療機関に義務づけるものです。

 医療現場での負担増大や混乱を招いており、情報漏えいや将来政府が国民の管理・統制に使うことへの懸念もでています。システムに必要な機器の整備が遅れていることなどから経過措置を設けています。

 批判の強い賃金のデジタル払いが解禁されます。法律は賃金について通貨による支払いを義務づけていますが、厚生労働省令で100万円を上限に「○○ペイ」といったキャッシュレス決済口座に振り込めるようにします。口座を運営する業者が破綻した場合、賃金が保全されるのかなどの重大な懸念が指摘されています。

 中小企業の月60時間超の残業割増賃金率が25%から50%に引き上げられます(大企業は実施済み)。月60時間超の残業を午後10時以降に行わせた場合は75%になります。


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