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2023年3月30日(木)

きょうの潮流

 がん治療の後遺症で以前のようには働けなくなり、退職。アルバイト代が治療費に消えていく日々を過ごしました。仕事と治療を両立させるお手伝いがしたい。それが株式会社を立ち上げるきっかけでした▼がん経験者の就労を支援する企業の社長、桜井なおみさん。16年前に仲間と2人で立ち上げました。治療を継続する社員や、在職中に亡くなってしまう人も。「でも、がんを体験した私たちだからこそできることがあるはず」と、その人がやりたいこと、できることで力を出し合います▼自身が乳がんになったのは2004年。仕事と治療を両立させる制度はほとんどありませんでした。2人に1人ががんになる時代。働き続けるためのしくみづくりや工夫が、大企業を中心に広がっていきました▼難しいのは中小企業。「まずは手厚い補助金を」と願います。さまざまな制度ができても情報格差も激しい。「でも、みんな医療とはつながっている。そこでの声掛けが大きなカギになるんです」▼就労は経済的な理由からだけではありません。「その人がどう生きていくのか」という尊厳にかかわること。「病気のことに立ち入ったら傷つくのではないかと案ずるより、まずは本人に聞いてほしい」。何ができるか、そのために職場ではどんな支援が必要か、“当事者の声から始めよう”と呼びかけます▼人手不足が叫ばれながら、がん患者が視野に入っていない国の姿勢もチクリ。「1億総活躍じゃなくて、“1億ちょびっと活躍”でいいじゃないですか」


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