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2023年3月29日(水)

独全土で大規模スト

交通関係 賃上げへ共同

 【ヘルシンキ=桑野白馬】ドイツ全土で27日、鉄道・バス会社や空港、港湾で働く労働者らが物価上昇に見合う賃上げを求めて24時間の一斉ストライキを行いました。新たな労働協約改定による大幅賃上げを目指し、公共交通機関の労組が合同で実施したもの。鉄道・バスの23万人、空港の地上スタッフなど12万人にストが呼びかけられ、地元メディアは、1992年以来最大規模のストライキとなったと報じました。


 ドイツ鉄道など鉄道・バス労働者を組織する鉄道運輸労組(EVG)は12%の賃上げ(賃金の低い階層の賃上げ幅は最低650ユーロ〈9万2300円〉)を要求。空港の地上スタッフを組織する統一サービス産業労組(ベルディ)は、公務員の共通要求として10・5%(賃上げ幅は最低500ユーロ〈7万1000円〉)を求めています。

 ストにより、ミュンヘン、フランクフルトをはじめ各地の主要空港で航空機が運航停止となりました。長距離列車は運休し、16州中7州でバス、路面電車、地下鉄が運休しました。

 ベルディのウェルネケ委員長は、「コロナ禍など過酷な状況で公共インフラを動かしてきたが、その対価は往々にして低賃金だった」と指摘。食料やエネルギーなどの物価高騰が「労働者にさらなる痛手になっている」として、「大幅な賃上げを求め、共同でたたかう」と表明しました。

 EVGは、「使用者側から真剣な交渉に値する案が提示されていない」として、今後開始される協約改定交渉で使用者側が賃上げ提案を大幅に上積みするよう求めており、再度警告ストを行うこともありうるとしています。

 ハンスベックラー財団経済社会研究所(WSI)によると、昨年1年間の労働協約改定で、賃金は平均2・7%上昇したものの、7~8%の物価上昇によって実質賃金は4・7%減少しました。WSIは「戦後ドイツで最大の実質賃金減少」だったとしています。

 今年、労働協約改定交渉を迎える各労組は、大幅賃上げを要求していくことを決めています。金属労組(IGメタル)の自動車部門(43万5000人)は、8・5%、郵便大手ドイツポスト(16万人)では15%を求めています。


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