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2023年3月28日(火)

きょうの潮流

 放送のあり方を規定した放送法。1950年に制定されました。戦後、新憲法のもと放送の分野で民主主義を実現しようとするものでした▼戦時の大本営発表の過ちを繰り返さないようにとの意思が込められています。表現の自由の確保を掲げ、放送の政府からの「独立」と「自律」が最大のねらいで、政府の放送への介入を許さないこととなっています▼この放送法に攻撃を仕掛けたのが安倍政権でした。いま問題になっている総務省の行政文書にその顛末(てんまつ)が記されています。放送法4条の「政治的公平」を巡って、従来は「番組全体を見て判断する」としていたのを2015年に高市総務相が「一つの番組でも判断できる」と答弁し解釈を変更。翌16年、それが政府統一見解とされました▼首相官邸の執拗(しつよう)な圧力が総務省にかけられ解釈変更に至った―。一昨年、メディア研究者の松田浩氏が『メディア支配』で示した通りのことが裏付けられました▼しかし、岸田政権は官邸の圧力があったことを認めず、解釈変更や報道の自由への介入には「当たらない」と。政府統一見解の撤回とともに、放送法の精神に立ち戻り政府に介入させない仕組みにする必要があります▼現行では、放送が監視すべき対象である政府が放送を統括する。そんな矛盾した放送行政がまかり通っています。政府が放送行政の全権を握っているのは、「主要国の中で、日本とロシアだけ」「独立行政機構の設置は、今や世界の大勢」という松田氏の指摘を改めてかみしめたい。


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