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2023年3月25日(土)

劣化ウラン弾 ウクライナに

英の供与に批判

健康と環境 被害拡大

 【タリン=桑野白馬】英政府がウクライナに主力戦車「チャレンジャー2」と強力な火力を持つ劣化ウラン弾の供与を表明したことに、反核平和団体から「健康と環境への被害を拡大する」と批判が相次いでいます。

 英国核軍縮運動(CND)は21日付の声明で、英米軍がイラク戦争などで広範囲に使用した劣化ウラン弾の影響で、乳がんや悪性リンパ腫の発生率が急増したと紹介。「真の影響に関する研究がない」と問題点を挙げました。ケイト・ハドソン事務局長は声明のなかで、劣化ウラン弾の供与は「戦争に巻き込まれた民間人の長期的な苦痛を増大させる。ウクライナの人々を助けることにはならない」と指摘しました。

 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツも22日、声明を発表。「広範囲かつ持続的に健康と環境に悪影響を与える」と英政府の決定を非難し、英国が劣化ウラン弾の供与をやめるようドイツ政府に働きかけていると明らかにしました。

 劣化ウランは、核燃料の生成や軍事目的でウランを濃縮した際の残りを指します。鉛より重く、戦車などの頑丈な装甲や鋼鉄を貫く威力を持ちます。命中し、さく裂した際には放射性物質が飛び散ります。

 英国防省は、劣化ウラン弾を「数十年にわたり使用してきた」として、科学者らによる複数の調査で「人体や環境への影響は低いとされている」と正当化しています。

 国連環境計画(UNEP)は昨年10月に発表した報告書で、劣化ウランの使用に伴う人体への悪影響を指摘しています。報告書は、有害物質を吸い込むことで「皮膚や粘膜の炎症、肝臓や腎臓に悪影響を与え、がんのリスクを高める」と強調。「劣化ウランの化学的毒性による影響は、放射性物質のそれよりも重大な問題と考えられる」と警鐘を鳴らしています。


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