2023年3月25日(土)
孤立死産に逆転無罪
元技能実習生 最高裁 「死体遺棄」を否定
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妊娠が分かれば帰国させられることを恐れ、孤立死産したベトナム人元技能実習生のレー・ティ・トゥイ・リンさん(24)が、死体遺棄罪に問われている事件の上告審で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は24日、一審と二審の有罪判決を破棄し、リンさんを無罪とする判決を出しました。裁判官全員一致の意見。
判決後、オンラインで記者会見したリンさんは、「(逮捕から)2年4カ月、最高裁の無罪判決を聞き、本当に心からうれしい。無罪判決により、安心して出産できるような環境に保護される社会に日本が変わってほしい」と語りました。
判決などによると、リンさんは、2020年11月15日午前9時ごろ、熊本県の自宅で双子を死産。遺体をタオルで包み、弔いの手紙とともに二重の段ボール箱に入れ、テープで封をして自室の棚に置きました。
一審の熊本地裁判決(21年7月)、二審の福岡高裁判決(22年1月)はともに、リンさんの行為を遺棄に当たるとして、有罪にしました。
草野裁判長は、遺棄に当たるか否かを判断するには、態様自体が習俗上の埋葬等と相いれない処置といえるものか否かの観点から検討する必要があると指針を示しました。その上でリンさんの行為を検討し、「行われた場所、死体のこん包及び設置の方法などに照らすと、その態様自体がいまだ習俗上の埋葬等と相いれない処置とは認められないから、刑法190条にいう『遺棄』に当たらない」と判断しました。
判決後、東京都内で開かれた集会では、「リンさんの無罪判決を求める署名」が累計で9万5000人以上から寄せられていることが報告されました。