しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年3月21日(火)

袴田事件 “抗告断念”歓喜の声

無罪求め57年 判決早く

 「袴田巌さん87歳、姉ひで子さん90歳 無罪求めて57年」「時間がない」―東京都千代田区の東京高検前で20日、袴田さんの弁護団と支援者ら50人超が集い、東京高検に最高裁への特別抗告を断念するよう迫りました。無罪を求める運動と世論に押され、東京高検は特別抗告を断念。午後4時29分、断念を知った支援者らは歓喜の声をあげました。


写真

(写真)ネット中継に出た袴田ひで子さん(右)の発言に笑顔を見せる(左から)西嶋団長、小川事務局長、村井敏邦一橋大学名誉教授=20日、東京都内

 抗告断念の知らせは、袴田弁護団事務局長の小川秀世弁護士の携帯電話に検察官から入りました。支援者らの歓声とともに記者会見場に入った小川弁護士は、ハンカチで目を拭いました。

 会見で西嶋勝彦弁護団長は「検察の判断は当然だ。東京高裁が13日に出した再審開始決定は、検察の主張を懇切丁寧に反証した。検察が特別抗告する理由は全くない」と語り、感極まって顔を下に向け絶句しました。

 巌さんを支えてきた姉の袴田ひで子さんも、静岡県浜松市からネット中継で会見。「検察も腹を決めてくれた。ありがとうとしかいいようがない。(昨年末から)負ける気がしなかった。再審開始でございます」とさっぱりした口調で語りました。巌さんには「安心しな。再審開始になったよ」と伝えました。

 袴田さんの第2次再審請求審で静岡地裁は2014年に、再審開始を決定しました。検察の即時抗告など妨害を受けるなか、9年かけてようやく再審公判にたどり着きました。

 再審が始まれば無罪が言い渡される見通しです。支援者らが訴えてきた袴田さんに「真の自由を」は、もうすぐそこに迫っています。戦後、死刑判決を受けた後に再審無罪となったのは4件。袴田さんが無罪となれば5件目です。

 西嶋弁護士は「(検察は)無駄な時間をかけ、姉弟に無用な苦痛を与えた。(無罪判決を)早く、早く。1カ月でももったいない」と強調しました。「これを機に再審法が必要であることが誰の目にも明らかになった。検察の証拠隠しや抗告でいたずらに時間を引きのばすことを禁じなければ」と語りました。


pageup