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2023年3月20日(月)

補聴器購入助成 自治体が急増

共産党、運動と結び実現

「請願紹介の中心」 議会論戦 制度創設

 高齢者の難聴に対応する補聴器の購入助成などに踏み出す自治体が急速に増えています。2022年末には123市区町村(表)へここ数年で急増しています。日本共産党は運動と結んで率先して助成を提案するなど実現のために力を尽くしてきました。統一地方選でも重要施策の一つとして実現を求めています。(横田和治)


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(写真)西の原えみ子足立区議(右)と補聴器を装着して会話する女性

 難聴に対しては、早い段階から補聴器を使うことで生活の質をよくすることが重要ですが補聴器は片耳で平均15万円と高額です。購入費の助成が住民にとって切実な願いとなる中で、民主団体や日本共産党が実現を働きかけ、実施自治体を広げてきました。

 独自に資料集を作成するなどして運動を広げてきた全日本年金者組合大阪府本部の加納正委員長は共産党が果たしてきた役割について「痛感するのは各議会で請願を紹介してくれる議員の中心がいつも共産党の議員さんだということです。補聴器問題に対して率先して行動してくれる、心強い存在です」と話します。

 聴力の低下に伴い、会話や他者とのつながりが減り、引きこもりがちになります。認知症やうつ病の発症にもつながる恐れがあります。

 こうした生活の質の悪化を防ぐための補聴器購入の助成をどう広げていけばいいのか。

党県議団提案 意見書を可決

 神奈川県相模原市では22年7月に2年間のモデル事業として政令市初の補聴器購入助成制度がスタートしました。

 日本共産党の市議団は12年から助成を要求。市長は「国の動向を注視する」と繰り返していました。しかし、党の粘り強い議会質問の一方で、年金者組合や新婦人などの4団体が21年に「補聴器購入補助を求める会」を結成し、2665人の署名を提出。市の重い扉を動かしました。

 同会の事務局長で、全日本年金者組合相模原支部協議会事務局長でもある下田繁夫さんは「共産党さんが長年にわたり質問をしてくれていて、私たちもこれまで年金者組合としては3度陳情を出して、すべて賛成してくれていた。その上で、会も結成し、それぞれが動いていたのが大きかった」と話します。

 日本共産党の松永千賀子市議団長は現状と今後について「今はまだ上限額も低いし、非課税世帯が対象ということもあって申し込みはそれほど多くはないですが、制度の拡充とともに継続を勝ち取り、広く周知していきたい」と抱負を語ります。

 助成制度をめぐる共産党の議会論戦は区市町村にとどまりません。兵庫県では2018年、党県議団が提案した補聴器購入補助制度を国に求める意見書が全会一致で可決されました。その後もくり返し制度創設を求めてきました。22年度には単年度限りながら1人当たり上限2万円までの購入補助制度が実現。県議団は、助成額や対象人数の拡大、恒常的な補助制度の実現などを求めています。

 東京都では共産党都議団が補聴器購入助成を提案するなかで19年、「聞こえの支援など、高齢者を支える区市町村の取り組みを支援していきます」という答弁を都から引き出しました。そして、区市町村が補助制度をつくれば費用の半分は都が負担することを明らかにさせました。

 こうした都の補助制度も活用して補聴器助成制度を創設する自治体も少なくありません。19年度には九つの自治体だった補聴器の支給や購入補助が、22年度には18自治体に一気に拡大しました。

 港区では助成額の上限が13万7千円、所得制限なしという画期的な補聴器助成制度も実現しています。

言語聴覚士の無料相談実施

 補聴器は購入後に調整、使いこなすには訓練が必要です。

 東京都足立区では20年に非課税世帯に対する2万5千円の助成制度が実現。23年度からは助成金額が5万円に引き上げられます。特筆すべきは、同区の「障がい福祉センターあしすと」自立生活支援室在籍の言語聴覚士による無料相談の実施です。当事者一人ひとりの生活状況を踏まえた上で、補聴器の相談に乗ってくれます。今年4月からは言語聴覚士が増員し、訪問相談も行えるようになります。助成制度成立に尽力した西の原えみ子党区議はこう語ります。

 「補聴器は買って装着したらすぐ聞こえるようになるというものではありません。議会では他党から、親に購入したが雑音ばかりで聞きにくいと活用されず放置されていたという実態も話されました」

 同区の「あしすと」による相談を利用し、現在左耳に補聴器を装着して生活している女性(88)。耳が聞こえづらくなっていた所を周囲の人が気にかけていたとき、助成制度が始まったことを告知するビラを見たのが利用のきっかけになったといいます。

 「耳が聞こえなかったときは会話するのもおっくうになって、自分の声もよく聞こえないから好きなカラオケにも行けなかった。でも補聴器を買って、いろいろ相談して調整しているうちに聞こえるようになって、本当によかった」

 西の原区議は「制度を充実させ、広く周知させていきたい」と語ります。

補聴器助成制度実施の市区町村

北海道 赤井川村、北見市、池田町、豊頃町、蘭越町、東川町、新得町、幌加内町、上士幌町、歌志内市、東神楽町、美瑛町、根室市、厚岸町、弟子屈町

岩手県 大船渡市、遠野市、九戸村、久慈市

宮城県 富谷市

秋田県 三種町

山形県 庄内町、山形市

福島県 二本松市

茨城県 古河市

栃木県 足利市、宇都宮市

群馬県 大泉町、前橋市

千葉県 浦安市、船橋市、印西市

東京都 新宿区、江戸川区、葛飾区、中央区、大田区、千代田区、墨田区、豊島区、足立区、文京区、板橋区、江東区、練馬区、渋谷区、港区、利島村、三鷹市

神奈川県 厚木市、愛川町、相模原市、清川村

新潟県 三条市、阿賀野市、聖籠町、刈羽村、弥彦村、見附市、出雲崎町、湯沢町、加茂市、粟島浦村、十日町市、上越市、胎内市、佐渡市、村上市、燕市、新発田市、小千谷市、妙高市、五泉市、魚沼市、阿賀町、田上町、津南町、関川村、新潟市

長野県 木曽町、南箕輪村、飯綱町、南木曽町、南牧村、伊那市、松川村、中川村

静岡県 藤枝市、長泉町、磐田市、焼津市

岐阜県 飛騨市、輪之内町

富山県 小矢部市

愛知県 稲沢市、犬山市、設楽町

滋賀県 豊郷町

大阪府 貝塚市

兵庫県 明石市、稲美町、相生市、養父市

奈良県 斑鳩町、三郷町

和歌山県 紀美野町、すさみ町

鳥取県 湯梨浜町、大山町、日吉津村

島根県 益田市

岡山県 備前市、瀬戸内市

福岡県 田川市、小竹町、みやこ町、大刀洗町

長崎県 五島市

熊本県 益城町

宮崎県 三股町

鹿児島県 曽於市

沖縄県 那覇市、南風原町

※2022年末時点、全日本年金者組合大阪府本部調べ


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