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2023年3月19日(日)

きょうの潮流

 絶好のタイミングです。この映画と今回公表された総務省の行政文書を併せると今起きていることが鮮やかに見えてきます。「パンケーキを毒見する」の内山雄人監督が、新作「妖怪の孫」で“本丸”安倍晋三元首相に迫りました▼安倍政権を「昭和の妖怪」といわれた祖父・岸信介氏の時代までさかのぼり、検証。その一つがメディア支配です。ネット戦略で若者たちを取り込む一方、言うことをきかないメディアには「電波の停止」をちらつかせ、強面(こわもて)で脅す。その結果、報道がどう歪(ゆが)められたかを事実で示します▼その舞台裏を生々しく示したのが、今回の文書でした。放送法の解釈変更をめぐり、「無駄な抵抗はするなよ」「首が飛ぶぞ」「俺と総理が二人で決める話」と官僚を恫喝(どうかつ)する首相補佐官▼映画では複数の現役官僚が匿名でインタビューに応えます。「官僚が政治に臆病になり、正しいことを直言する精神文化は全く失われた」「今の政権の方向性と違うことは一切考えるなと(上司に)説教された」。集団的自衛権行使容認のために内閣法制局長官を差し替えたことは「時の総理大臣によるテロ」と▼ルール破りの最たるものが自民党の改憲案です。本来、憲法は国家権力を拘束するものなのに「憲法が一般国民に対し、憲法を守れと命じている。世界の珍事ですよ」と憲法学者の小林節さん▼安倍政治を踏襲し、先をいくのが岸田政権だと映画は告発します。ラストは危機感を募らせる監督の異例の独白。ぜひ劇場で確認を。


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