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2023年3月17日(金)

「シャトル外交」再開へ

日韓首脳会談 首相「おわび」言及せず

 岸田文雄首相は16日、初来日した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と首相官邸で会談しました。首相は会談後の共同記者会見で、元徴用工への賠償を日本企業に求めた2018年の韓国大法院判決をめぐり、韓国の財団が肩代わりするとした「解決策」を「厳しい状態にあった日韓関係を健全なものに戻す」として評価。両首脳が相互に往来する「シャトル外交」再開で合意しました。韓国大統領の来日は11年以来。以後、シャトル外交は途絶えていました。

 一方、植民地支配の問題をめぐり、岸田首相は「日本政府は1998年10月の日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認」したと表明。ただ、同宣言に明記している「痛切な反省と心からのおわび」には直接言及しませんでした。

 また、尹大統領は、韓国財団が賠償金を支払った後に相当額の返還を日本企業に求める「求償権」について、行使は「想定していない」と述べました。

 首相は中国の台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に「現下の戦略環境の中で、日韓関係の強化は急務」だと表明。両首脳は中断していた日韓安保対話、次官戦略対話の再開で一致しました。さらに首相は、16日早朝の北朝鮮による大陸間弾道ミサイルの発射をふまえ、「日米・米韓同盟の抑止力強化」「日米韓の安保協力の推進」を強調しました。

 今回の会談を踏まえ、日本政府は大法院判決への事実上の対抗措置として19年7月にとった半導体関連3品目の輸出規制を解除。尹氏は、世界貿易機関(WTO)への提訴を撤回したことを明らかにしました。さらに尹氏は、輸出規制などへの対抗措置としてとった日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の運用も「正常化した」と述べました。両国の国家安全保障会議(NSC)レベルで経済安全保障に関する日韓の協議体を立ち上げることでも合意しました。


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