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2023年3月15日(水)

地対艦ミサイル配備予定 陸自勝連分屯地

森林法違反 開発判明

“米軍が伐採”と弁解

沖縄県が立ち入り調査へ

 敵基地攻撃能力保有に向け、地対艦ミサイル部隊の配備が予定されている陸上自衛隊勝連分屯地(沖縄県うるま市)で、保安林に指定されている土地を森林法に違反して開発していることが明らかになりました。県は防衛省沖縄防衛局と調整の上、現地への立ち入り調査を行うとしています。(田中智己)


地図

 市民団体「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」が2月末に森林法違反を指摘。違法開発の経緯が明らかになるまで、分屯地内の工事中止を求めていました。これに対し、防衛局は「米軍から返還された時点で、すでに開発されていた。違法開発にあたらない」と弁解し、工事を強行しています。

 ただ、同会によるその後の調査で、返還後にも自衛隊が保安林区域で森林法違反にあたる開発をしていたことが判明。調査を行った土木技師の北上田毅氏は「(分屯地の)東南部の広場に米軍が設置した基地施設を撤去し、コンクリート舗装するなど土地の形質変更を行ったことが航空写真で確認できた」と告発しました。

 森林法第34条は保安林について「都道府県知事の許可がなければ立木の伐採や形質変更をしてはならない」としており、米軍による森林伐採後も保安林に指定された区域での形質変更は違法です。

 同会は13日、保安林に指定された場所へのミサイル配備は、違法行為に当たるとして工事中止と原状回復を防衛局に要請。防衛局は県の調査や法令に基づいて対応する考えを示したものの、「米軍が伐採した後の経過など詳細は把握していない」と述べるにとどまりました。

 同会の照屋寛之共同代表は「防衛局からは明確な答えを得られなかった。森林の伐採が米軍によるものだったとしても自衛隊が使用するときには原状回復すべきだ。森林法を無視している」と憤ります。

75年に一帯を県が保安林に

 勝連分屯地一帯は1912年に旧森林法に基づき保安林に指定。戦後、米軍が基地として使用し、73年に陸自が引き継ぎ、県は75年、今回違反が指摘した区域を含む一帯を保安林に再指定していました。森林法違反の場合、開発行為の中止、復旧が必要となります。


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