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2023年3月11日(土)

コロナ5類 患者負担増

政府決定 医療機関支援も縮小

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを引き下げるのに伴い、政府対策本部(本部長・岸田文雄首相)は10日、実施日の5月8日から、現在は無料としている検査や外来、入院時の費用に患者負担を求め、コロナ患者に対応する医療機関への財政支援は大半を縮小すると決めました。患者の受診控えや治療の中断を招くとともに、医療機関はコロナ対応がより困難になる事態が危惧されます。

 新型コロナは現在、検査や陽性確定後の医療の患者負担を公費で賄っています。政府は新型コロナを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げ、公費負担を段階的に縮小します。5月以降も感染拡大が懸念されるなか、インフル並みの患者負担を求めます。

 政府の試算では、窓口負担3割の人は現在、外来で陽性確定前の初診料などが2590円程度かかります。5月8日以降は陽性確定後の医療費や検査代が加わり、インフルに近い最大4170円程度の負担となります。

 コロナ患者用の病床を用意できた医療機関に支給する「病床確保料」は半減します。

受診控えの危険 医療側対応も困難に

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 新型コロナの政府対策本部の決定では、入院費には5月8日以降も軽減措置を設けますが、月最大2万円だけです。

 既存の負担上限制度(高額療養費制度)はありますが、住民税課税対象で年収370万円未満の「一般所得」の人は、患者負担が月最大4万円程度になります。高額なものが多いコロナ治療薬は公費負担を続けます。いずれも9月末を期限とするため、それ以降はより高額な負担を強いる可能性があります。

 感染力は依然強く、高齢者らは重症化リスクが高いのが現状です。特に75歳以上で一定所得以上の人は昨年10月から、患者負担が1割から2割に引き上げられたばかりです。

 全国保険医団体連合会(保団連)が昨年10月から今年1月にかけて実施した患者調査では、75歳以上で2割負担の人の14・9%が「受診回数を減らした」、12%が「食費など生活費を削って受診している」と答えました。コロナ医療費の負担増が受診控えを広げるのは必至です。

 患者の受け入れ先については、政府は都道府県に「移行計画」を作成させ、入院は約8200の全病院(現在は約5千)で、外来は、季節性インフルを診ている約6万4千の医療機関(同4万2千)への拡大をめざします。その一方、病床確保料だけでなく、重症・中等症患者に対応した際の診療報酬の引き上げといった特例措置を軒並み大幅縮小。発熱外来に対する上乗せ措置は先だって廃止する見通しです。

 オミクロン株の流行で高齢患者が増加したため、リハビリや介護サービスとの連携が整った「地域包括ケア病棟」などを対象に加算を新設しますが、微増にとどめる可能性があります。

 医療機関の多くがコロナ禍前から、政府による診療報酬抑制で人手不足や経営が厳しいため、今後も医療ひっ迫が起こりかねません。


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