2023年3月8日(水)
入管法改定案 再提出
旧案と同骨格 人権侵害を加速
政府は7日の閣議で入管法改定案を決定し、国会に提出しました。難民認定申請中は送還が停止される規定(送還停止効)に例外を設け、3回目以降は申請中の送還を可能とするのが柱。2021年に廃案となった旧法案と骨格は同じで、弁護士や支援団体は人権侵害を加速させると強く批判しています。
政府は長期収容の解消をうたうものの、改定法案は長期化の温床と指摘される全件収容主義(在留資格がない人の原則全員収容)を維持。収容期間の上限規制もなく、収容に関して司法の関与がない問題も現行法と変わりません。
送還停止効の例外をめぐっては、「迫害を受けるおそれのある国への追放・送還を禁じるノン・ルフールマン原則に反する」(大阪弁護士会)など、各地の弁護士会などから批判が相次いでいます。
改定法案は他に、親族や友人などの「監理人」を付けることを条件に、入管施設外での生活を認める「監理措置」制度を導入。入管施設への収容の必要性を3カ月ごとに判断し、出入国在留管理庁が認めれば監理措置に移行できる仕組みも設けます。
日本では全件収容主義のもと、合理的な理由のない入管施設への長期収容が横行。21年には入管施設でウィシュマ・サンダマリさんが死亡する事件が起き、収容された人への非人道的な扱いが広く問題視されるようになりました。ウィシュマさんが死に至る経緯を隠蔽(いんぺい)し、責任逃れをしながら法改定を推し進める政府・与党に批判が高まり、旧法案は廃案に追い込まれました。








