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2023年3月4日(土)

主張

日本全土の戦場化

「抑止のため」の欺瞞は明らか

 岸田文雄首相は、安保3文書で決めた敵基地攻撃能力の保有について「日本への武力攻撃を抑止するため」と繰り返しています。これに対し日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院予算委員会で、防衛省が全国の自衛隊基地を核兵器などによる攻撃にも耐えられるよう「強靱(きょうじん)化」する計画を立てていることを明らかにしました。「抑止」が破れ、日本中に戦火が及ぶことを想定したものです。「抑止のため」は欺瞞(ぎまん)です。

核攻撃想定の「強靱化」

 安保3文書は、「我が国の安全保障上の目標」として、第一に「我が国及びその周辺における有事、一方的な現状変更の試み等の発生を抑止する」としています。その上で「我が国への侵攻を抑止する上で鍵となるのは、スタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力である」と強調しています。「スタンド・オフ・ミサイル」=長距離ミサイルによる敵基地攻撃能力(反撃能力)が「抑止力」の中核になるという認識です。

 同時に、3文書は「万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合」に言及しています。その際は「これを阻止・排除する」とし、「有事においても(自衛隊が)容易に作戦能力を喪失しないよう」に、主要司令部の地下化や構造強化など「各施設の強靱化を図る」としています。

 小池氏は、防衛省が昨年12月と今年2月にゼネコン関係者などと「自衛隊施設の強靱化」に関する意見交換会を開いたことを明らかにしました。「しんぶん赤旗」日曜版2月26日号のスクープを受けたものです。同省が意見交換会で配布した資料は、全国に約300ある自衛隊基地・駐屯地などが持つ約2万3000棟の建物などを「強靱化」するとしています。小池氏の質問に対し、浜田靖一防衛相は、5年間で約4兆円をかけて集中的に実施した上で、おおむね10年後には全ての施設に対してできるようにしたいと答えました。「これまで経験したことのない規模の事業量」(資料)とされます。

 看過できないのは「強靱化」の中身です。

 資料は、「各種脅威に対する施設の強靱化」として、「主要司令部等の地下化」をはじめ「CBRNeに対する防護性能の付与として、施設の機能・重要度に応じた構造強化」や「主要施設のHEMP攻撃対策を推進」するとしています。

「CBRNe」は「化学、生物、核、爆発物などによる攻撃」で、「HEMP」は「高高度での核爆発により電磁パルスを発生させる攻撃」のことです。

 司令部など自衛隊の主要施設を地下化したり、構造を強化したりし、核攻撃にも耐えられるようにするという基地強化計画です。

危険は米の戦争への参加

 敵基地攻撃能力保有の現実的な危険は、米国の戦争に集団的自衛権の行使として日本が加わり、相手国に敵基地攻撃を行うことです。相手国からの報復攻撃は避けられません。浜田防衛相も、日本が集団的自衛権を行使した後に相手国から攻撃され、「大規模な被害が生ずる可能性」を認めています(2月6日、衆院予算委)。

 「軍事に軍事で構えると、無限の悪循環になるだけ」です。「今やるべきことは戦争の準備ではない。徹底した外交努力で地域の緊張を緩和すること」(小池氏)です。


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