2023年3月3日(金)
きょうの潮流
たまごには三大特性があります。熱を加えると固まる。ゆで卵や卵焼きに。混ぜると気泡ができる。メレンゲやお菓子づくりに。混ざり合わないものを混ぜ合わせる。マヨネーズやアイスクリームに▼身近な食材で価格も安定している卵はさまざまな料理や食品に利用されています。しかしいま、物価の優等生の値上がりがとまりません。1年前と比べてほぼ倍に。大手レストランをはじめ卵を使ったメニューの一部を停止するところも現れています▼世界各地で猛威をふるっている鳥インフルエンザや飼料高騰の影響で、しばらくは高値が続くといいます。殺処分の対象となったニワトリなどの数は一つのシーズンで初めて1500万羽をこえました。これは全国で飼われている採卵鶏の1割超にあたります▼いまだ収束の兆しはなく防疫対策にも限界があり、養鶏農家からは「このままでは続けられない」との声もあがります。畜産・酪農の危機をふくめ、この国の食をどうするのか。根っこのない政府の対応からは何もみえてきません▼月が替わっても食料や飲料の値上げラッシュ。加えて交通機関の運賃も引き上げられ、電気やガス、水道代も高騰したまま。賃金は上がらないのに、モノの値段だけが上がっていくという不条理です▼話を戻せば、栄養が豊富でおいしく安い卵は「生命のカプセル」と呼ばれてきました。しかし大規模化した採卵や供給に問題はないのか。いのちを育むカプセルから、人類の食のあり方もみえてくるはずです。








