2023年2月28日(火)
主張
自民党大会
反省なき暴走政治 危険あらわ
自民党が26日、定期大会を開きました。決定した運動方針には、岸田文雄政権が閣議決定した安保3文書に基づく大軍拡や、自衛隊を9条に明記する改憲の推進を盛り込みました。
岸田首相(党総裁)はあいさつで「まず取り組まなければならない」課題として、「防衛力を抜本的に強化」することを挙げました。国民への説明もなく空前の軍拡を進めていることに、自民党閣僚経験者からも批判が出ています。「戦争国家づくり」に拍車をかける暴走を阻む世論と運動を広げることが重要です。
改憲への運動加速を強調
運動方針では、安保3文書を踏まえ、軍事力を5年間で抜本的に強めることを強調しました。「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有を進めるとして、「統合防空ミサイル防衛能力」などの強化も明記しました。
「統合防空ミサイル防衛」は、アメリカが地球規模で同盟国と一体で構築しようとしている軍事システムで、先制攻撃作戦が柱の一つになっています。米軍の指揮下で自衛隊が他国に攻撃を加えれば、日本は反撃され、国土は焦土と化します。「日本を守り、未来を切り拓(ひら)く」(運動方針の表題)どころか日本を破滅に導きます。こんな危険な道を許してはなりません。
「早期の憲法改正実現に向け運動を加速する」と打ち出したことも重大です。国会の憲法審査会で「9条自衛隊明記問題の議論を進める」ことに意欲を示しました。内閣に権限を集中し、基本的人権の侵害につながる「緊急事態条項」創設も進める姿勢です。
改憲を加速する「車の両輪」は「国民の理解の深化」と「国会での具体的な憲法論議」だとしました。党改憲実現本部を中心に「草の根」で研修会を開催するなどとしています。安倍晋三元首相が2017年に提起した自衛隊明記などの明文改憲を実現できないのは、国民が望んでいないからです。改憲の世論づくりを狙う自民党の企てを打ち破るたたかいが不可欠です。
運動方針では、原発の活用も明記しました。東日本大震災での東京電力福島第1原発事故の教訓を忘れた岸田政権の原発・エネルギー政策の大転換を後押しする立場があらわです。
一方、厳しい批判が広がった統一協会との癒着について、運動方針には一言もありません。首相もあいさつで全く触れませんでした。統一協会との関係や「政治とカネ」問題などで4閣僚が相次いで辞任したことへの反省も示しません。
首相秘書官の暴言で大きな問題になったLGBTQなど性的少数者の差別をなくす取り組みについても言及しませんでした。
声聞かない政治終わりに
岸田首相はあいさつで「おごりを捨て、虚心坦懐に、徹底的に国民の声に向き合う」などと述べましたが、文字通り言葉だけです。山積する疑惑の解明に背を向ける政権への国民の信頼は失われるばかりです。
運動方針は、統一地方選を「党の浮沈をかけた一大決戦」と位置づけ総力をあげるとしています。自民党に負けられません。平和・憲法・暮らしを壊す自民党に厳しい審判を下すことが必要です。








