2023年2月26日(日)
山口県庁ぐるみ選挙
自民関係者が関与
元副知事の刑事確定記録で判明
リーフ3000部持ち込み
2021年10月の衆院選前に自民党の林芳正外相(山口3区)を支援する同党関係者が林氏のリーフレットと後援会の入会申込書を約3000部も山口県庁に持ち込み、職員に配らせていた―。そんな組織的勧誘活動の実態が、日本共産党の藤本一規県議が山口地検で閲覧した小松一彦元副知事の公選法違反事件の刑事確定記録で分かりました。(丹田智之)
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この事件で小松氏は、公選法違反(公務員の地位利用)で罰金30万円の略式命令を受けています。
歴代にも
藤本県議が確認した供述調書によると、小松氏に協力を求めた自民党関係者は、後援会への勧誘を「林氏を応援してくれる人を増やすため、衆院選を見据えた準備」だったと証言。歴代の副知事に同様の依頼をしたと明かして「県庁全体に入会申込書等を配ってくれるのだろうと考えていた」と述べています。
この人物から指示された別の自民党関係者は同年4月、電話で林氏の後援会事務所に「リーフレットなどを多めに持ってきてほしい」と連絡。同党県連事務局がある山口県自治会館(山口市)の入り口で受け取った「3~4個の紙袋か段ボール箱」を車のトランクに載せたといいます。
数日後、県議会棟の連絡通路から県庁の副知事室に入り、小松氏に「『持ってきました。よろしくお願いします』などと言い、紙袋か段ボール箱を渡した」と証言しています。
運んだ数量については、事件後に検察官から「(小松)副知事が3000部のリーフ等を受け取ったと話している」と聞いたとしています。
呼び出し
小松氏から配布を依頼された県職員の供述調書もありました。小松氏は同年4月下旬ごろ、複数の職員を集めて次のように話したと記されています。
「無理はしないでもらいたいが、できるだけお願いしたい。名簿があるから、山口3区に縁のある人に声をかけてもらいたい」
小松氏から渡された紙袋には、林氏の略歴や政治信条などが書かれた大量のリーフと後援会の入会申込書、山口3区に関係のある職員の名簿が入っていたと証言しています。名簿の作成には、県庁に勤務する全職員の氏名、本籍、住所などが入力された人事データが使われていました。
この職員は、小松氏から「21年5月中旬の特定の日までに、職員から集めた後援会入会申込書を提出してほしいと言われた」と振り返っています。そして、勤務時間中に電話や業務用メールで部下を呼び出し、それぞれにリーフや後援会の入会申込書が入った封筒を渡して「ノルマとかはないが、できれば協力してほしい」と求めました。
公開された刑事確定記録は、自民党関係者らの氏名が黒塗りにされています。村岡嗣政県知事も「個人の特定になる」として明らかにしていません。
藤本県議は「副知事が刑事罰を受けて辞任する事態になり、多くの県民から怒りの声が上がっています。林氏と自民党県連は説明責任を果たすべきだ」と強調しています。










