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2023年2月25日(土)

政党のあり方と社会のあり方の関係を考える― 一部の疑問に答えて

書記局次長 土井洋彦

 党の規約を無視した行動で除名された元党員の問題をめぐって、一部の識者から「共産党は自由な社会をめざしているのだから、党内のあり方も自由であるべきではないか」という疑問が寄せられています。日本共産党の発展を願って寄せていただいているものだと思います。そこで、日本共産党のあり方と、党がめざす社会との関係についてのべておきたいと思います。

「民主的な討論をつくす」は決して建前ではない

 日本共産党は「民主的な討論をつくし、統一して行動」することを組織原則としています。それを「民主集中制」と呼んでいます。これは特別なものではなく、国民に責任を負う近代政党なら当たり前の原則だと考えていますが、強調したいのは次の点です。

 一つは、私たちの党運営における民主的な実態を見ていただきたいということです。党の最高の意思決定機関である党大会では、2カ月以上前に決議案を発表し、県や地区、支部にいたるまで全党討論を重ねて大会方針を練り上げます。

 2020年におこなわれた第28回党大会の場合、支部や地区、県を通じて約1800件の意見・提案が寄せられ、少数意見を含めて214通の個人意見を「赤旗」臨時号に掲載しました。それらの意見は一つひとつ吟味され、大会議案に修正・補強が加えられ、採択されました。

 全党討論のなかで寄せられた意見のなかには、たとえば、綱領一部改定で明記したジェンダー平等をめぐって、1970年代に「赤旗」に掲載された論文などで、同性愛を性的退廃の一形態だと批判的にのべたことについて、きちんと間違いを認めてほしいというものがありました。この意見についても中央委員会として集団的に吟味し、党大会の志位委員長の結語で「間違いであったことを、この大会の意思として明確に表明しておきたい」と真剣な反省をのべました。全党が民主的な討論をつくしたことが、党の問題点の是正につながり、発展につながったのです。

 このように「民主的な討論をつくす」ということは、決して建前ではありません。党運営のあらゆる面で実際に民主主義を貫いている姿を、ぜひ知っていただきたいと思います。

「行動の統一」――団結してこそ、政治を変えることができる

 同時に、公党として国民に責任を負うには、民主的な討論とともに、「行動の統一」が必要だということです。とくに日本共産党は、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配といういまの政治を根本から変革することを綱領に掲げています。その事業を前進させるためには、現在の体制にしがみつく勢力による攻撃や妨害、抵抗に立ち向かい、打ち破っていく必要があります。そのたたかいにおいては「行動の統一」、つまり団結が不可欠です。

 社会の自由と民主主義を擁護し、発展させるためにも、日本共産党の行動がバラバラで責任が果たせるでしょうか。安倍内閣による秘密保護法、共謀罪、安保法制、そして岸田内閣の「安保3文書」――これらとのたたかいをみても、日本共産党が「行動を統一」してぶれずにたたかうことが重要なことは明らかではないでしょうか。

 党規約に反する行動で党を除名された元党員は、まさに「行動の統一」という当たり前のルールに違反したことが問題とされたものにほかなりません。

社会のあり方――自由、民主主義、人権を断固として擁護・発展

 そのうえで、あらためて明確にしておきたいのは、「行動の統一」は個々人が自由な意思で加入する政党として、自主的・自律的にとっているルールであって、それを社会に押し付けることは決してないということです。

 自由な意思で加入する政党と、すべての構成員が生まれながらにして所属する社会とは、その点で、性格がまったく異なっています。社会のあり方としては、自由、民主主義、人権を断固として擁護し、将来にわたって発展させ、開花させるというのが、日本共産党が綱領で固く約束していることです。

政党のあり方と社会のあり方の関連と区別

 政党のあり方と、社会のあり方――とりわけその政党が政権党になった場合に、その社会がどのような社会になるのかとは、もちろん無関係ではありません。

 党内に自由も民主主義もない全体主義政党が権力を得たことが、民主共和制を破壊して、全体主義国家を生み出すにいたったことは、ナチス・ドイツの例が示しています。旧ソ連の場合も、レーニンの死後に権力を握ったスターリンが党内の民主主義を根こそぎ圧殺したことが、大量弾圧、専制国家への転落につながっていきました。

 民主的な社会をめざす政党ならば、その党内のルールにおいても民主的運営をつらぬくことが求められるのは当然であり、わが党はそのための努力を重ねています。同時に、社会を発展させるためには、政党としての団結したたたかいが必要であり、「行動の統一」が不可欠です。

 これが政党のあり方と社会のあり方の関連と区別についての日本共産党の考えです。

 (どい・うみひこ)


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